
この記事をまとめると
■スポーツカー好きにとって「スピードスター」の名前は特別だ
■20世紀初頭から現在にかけてまでさまざまなモデルが展開されてきた
■スピードスターを名乗るモデルが生み出す爽快感はまさに特別な感覚といえよう
名車揃いなスピードスターの歴史
スポーツカー好きのエンスージアストにとって、「スピードスター(Speedster)」というサブネームは、やはり気になる存在といってよいのかもしれない。ちなみにスピードスターという言葉そのものには、自動車の世界においては「高速での走行性に優れるモデル」、あるいは「ハイスピードドライブが好きなドライバー」という意味があるから、したがってスピードスターの名は、高性能でかつ軽量に仕上げられた、スパルタンなテイストをもつモデルに与えられることが一般的な常識となっている。
スピードスターのヒストリーは20世紀初頭にまでさかのぼることができる。アメリカのインディアナ州で1901年に設立されたアパーソンが、1906年に発売したその名も「スピードスター」が、カタログモデルとしては世界初となったスピードスター。その後、1913年にはリトルデトロイトから、1928年にはアーバインから、やはり高性能なスピードスターが誕生している。
さらに見逃せないのは1908年にデビューした安価なフォードの「モデルT」をベースに、社外の多くのファクトリーが独自に高性能なモデルを開発。それらにやはりスピードスターの名を与えていること。スピードスターはアメリカで生まれ、そしてアメリカで育ったひとつの高性能車の文化ともいえるのだ。
それから1世紀以上にわたって自動車は進化を続けてきたが、そのなかでも数多くの魅力的なスピードスターが世に送り出されてきた。
まず誰もが知るのはポルシェが1954年に発表した「356 1500スピードスター」を始まりとする(356の軽量高性能版という意味では、それには1952年から16台のみがアメリカ向けに製作された、356アメリカ・ロードスターという前身があったのだが)、一連のスピードスターシリーズだろう。
1957年製の「356 1500 GSカレラGTスピードスター」は、ポルシェのロードカーとしては初めて200km/h以上の最高速を記録したモデル。その後しばらくポルシェはスピードスターの名を封印するが、1988年になると当時の930型911で、また1993年には964型911、2010年には997型911、そして2019年には991型911において、いずれも限定車としてスピードスターを復活させている(正確には993型911ベースのスピードスターも2台のみが製作された)。
もちろん、この高性能で軽量なスピードスターのコンセプトは、ほかのスポーツカーメーカーにとってもとても魅力的なものだったのは確かなところだ。
