
この記事をまとめると
■車両返却予定時の残価を差し引いてローンを組むのが残価設定ローンだ
■メーカーや販売会社としては新車が売れて程度のいい車両も手に入るためにメリットが多い
■人気車は残価が高いために選ばれやすくなりさらに人気が高まることになる
残価設定ローンの登場で人気車と不人気車の格差が大きくなっている
残価設定ローンとは、契約時に3〜5年後、あるいは7年後の残価(残存価値)を設定して、残価を除いた金額を分割返済するローンだ。単純にいえば、価格が200万円のクルマで3年後の残価が新車価格の40%なら、残りの60%を3年間で分割返済する。残価を除いた60%しか返済しないため、返済期間を終えても車両は自分の所有にならないが、月々の返済額は安く抑えられる。
そして、返済期間を終えたときには、車両を返却する、ローンを改めて組んで返済を続ける、残価を支払って買い取る、という選択のできることが多い。
上記のなかでもっとも多いパターンは車両の返却だ。車両を返して、改めて残価設定ローンで新車を契約する。そうなれば、メーカーや販売会社としては新車が売れて返済期間を終えた程度のいい車両も手に入る。新車が多く売れて、中古車部門も活性化できる。
つまり、残価設定ローンは、メーカーや販売会社にとって都合のいい販売方法だ。そこで低金利などを積極的に用意している。
ユーザーとしては、3年後の残価が新車価格の60%を超えるような車種で残価設定ローンを利用すると、月々の返済額をさらに安く抑えられる。残価の高い車種は人気も高く、中古車として高値で売れるから、販売会社としてもメリットが大きい。
その結果、残価の高い人気車は売れ行きを一層増やし、低い車種はますます落ち込む。残価設定ローンは、人気の格差を拡大する作用があるわけだ。
残価の高い車種は、人気の高い上級SUVやミニバンに多い。多くのユーザーが憧れる高価格車は、中古車のニーズも高く、高値で売却できるから残価も上昇する。
たとえばトヨタランドクルーザー250ZXは、3年後の残価が新車価格の66%に達する。トヨタ・アルファードハイブリッドZは67%だ。日産セレナe-POWERハイウェイスターVは57%、三菱トライトンGSRは59%と高い。一般的な3年後の残価は、新車価格の40〜48%だから、これらの高残価の車種は月々の返済額を少なく抑えられる。
また、前述のとおり残価の高い車種は、高値で売却できる。これらの車種は、現金で購入するユーザーにとっても、資産価値が高いために選ぶメリットも大きい。
