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激レアな直5エンジンといえばアウディの代名詞! なんと50年の歴史に終焉ってマジか……

激レアな直5エンジンといえばアウディの代名詞! なんと50年の歴史に終焉ってマジか……

この記事をまとめると

アウディにとって直5エンジンは「クワトロ」と並ぶブランドのアイコンだ

■アウディの直5エンジンが2026年で誕生から50周年を迎える

■電動化時代を前にして終焉がアナウンスされている直5エンジンを振り返る

50周年を迎えるも先はない直5エンジン

 アウディといえば、AWDの「クワトロ」が代名詞として知られているが、もうひとつ、古くはWRCで活躍したビッグクワトロに搭載され、現在ではハイパフォーマンスモデルのRS3に採用されている直列5気筒エンジンも、アウディのモータースポーツ活動を語るうえで欠かせない、ブランドを代表するアイコンのひとつだ。

 そんなアウディの直列5気筒エンジンが、2026年で50周年を迎える。

 アウディの直5エンジンは、1976年に登場した第2世代アウディ100に、世界初の直列5気筒ガソリンエンジンとして搭載されたのが始まりである。

 先代モデルよりも上位市場でのポジション獲得を目指して開発されていた2代目アウディ100において、直列4気筒よりも余裕のある出力をもたらすパワーユニットとして採用されると、1980年には前述のビッグクワトロ、すなわちアウディ・クワトロ(スポーツクワトロ)に搭載され、WRCで圧倒的な強さを見せた。

 さらに1992年には、ポルシェがカスタマイズを手がけたことでも知られるRS2に採用され、直5エンジンは一気にアウディを代表するパワートレインのひとつとしての地位を確立する。

 その後、1997年に一度は姿を消したアウディの直5エンジンだったが、2009年に登場したアウディTT RSで待望の復活を果たす。続く2010年にはRS3スポーツバックにも採用されるなど、アウディのコンパクトクラスにおけるパフォーマンスモデルの定番エンジンとして、現在に至っている。

 自然吸気の2144cc・136馬力からスタートしたアウディの直5エンジンは、ターボチャージャーなどの採用によって進化を重ね、50年の時を経て、最終的には2480cc・400馬力へと到達したことになる。

 本来であれば、「アウディの直5エンジンは、ここからさらに60周年を目指し、進化を続けていく」とまとめたいところだ。しかし、ご存じのとおりアウディは電動化戦略を推進している。2033年の完全電動化方針こそ撤回され、内燃機関の撤廃時期は明言されなくなったものの、これは内燃機関が恒久的に存続することを意味するわけではない。実際、現行型RS3の生産終了とともに直5エンジンも姿を消すというアナウンスは、いまなお撤回されていない。完全電動化が進んだアウディの将来のラインアップに、クワトロを備えたRS3が存在しても、そこに直5エンジンの姿はない可能性が高い。直列5気筒エンジンに残された時間は、そう多くはないのだ。

 クワトロと並び、アウディのスポーツスピリットを象徴してきた直列5気筒エンジンの50年は、単なるエンジン進化の歴史にとどまらない。それは、モータースポーツで培われた技術と情熱を市販車へと惜しみなく注ぎ込んできた、アウディの姿勢そのものでもある。

 電動化という時代の流れのなかで、その役目を終える日が近づいていることは否定できない。しかし、直5エンジンが刻んできた独自のサウンドやフィーリング、そして数々の記録が色褪せることはないだろう。アウディの歴史を語るうえで、直列5気筒エンジンは、間違いなく「特別な存在」なのである。

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