
この記事をまとめると
■新型レクサスRZが同社初のステア・バイ・ワイヤ技術を搭載した
■機械的なステアリングシャフトが廃された完全なバイ・ワイヤとなっている
■その特徴や採用することでのメリットを解説する
レクサスのステア・バイ・ワイヤはBEVから
先日、レクサス唯一のBEV専用モデルであるRZが大幅改良を遂げた。そのハイライトといえるのは、やはりステア・バイ・ワイヤの採用だろう。ステア・バイ・ワイヤとは、ステアリングの操作をバイ・ワイヤ=電線によって、つまり機械的接続のかわりに電気信号を用いて制御するというシステムのことだ。
たとえばスロットルでは、バイ・ワイヤ技術は広く浸透している。いわゆる電制スロットルと呼ばれるものがそれで、アクセルペダルからエンジンルーム内のスロットルボディまでが金属製のケーブルで結ばれる機械式スロットルを採用しているクルマは、いまではかなり数を減らした。シフトレバーを動かすかわりにスイッチでシフト操作を行うシフト・バイ・ワイヤも同様に広がりを見せつつあり、いまでは珍しいものではない。
だが、ステア・バイ・ワイヤや、ブレーキ・バイ・ワイヤについては、各所で研究こそ続いているが、従来の機械式システムを完全に廃して実用化に至った例はほぼない。スロットルならば、仮にシステムがダウンしても全閉になることで、即座に致命的な事態に陥る可能性は低い。一方でステアリングやブレーキといった部分は、自動車の操作においていわばよりクリティカルなものなので、万が一にでもトラブルが起きて制御不能になったときに重大な事態にたやすく繋がるのだから、保守的にならざるを得ないのも頷ける。
ブレーキ・バイ・ワイヤは古くから採用例こそあるものの(ちなみに電子式パーキングブレーキも一種のブレーキ・バイ・ワイヤといえる)、完全に油圧回路を廃したブレーキシステムというものは、いまだ実用化には至っていない。
ステア・バイ・ワイヤにしても、日産が現行V37型スカイラインで「ダイレクトアダプティブステアリング」という名称で実用化しているが、これもステアリングラックと物理的に繋がるステアリングシャフトは残し、その内部に機械式クラッチを挟んでおいて、緊急時にはクラッチを接続することで物理的にステアリング操作が可能となる仕組みとなっている。
翻って新型レクサスRZのステア・バイ・ワイヤに目を向けると、こちらではステアリングシャフトが完全に廃されている。そこで気になるのはやはりフェイルセーフの考え方であるが、レクサスによれば、そのシステムは同等の性能をもつ2系統の回路と独立したバックアップ電源からなり、万が一の際にはもうひとつの回路でステアリング操作を続けることができるのだという。
