
この記事をまとめると
■現在の日本市場ではMTは減少しATとCVTが主流となっている
■ATは多段化することで大きく性能を高めた
■ハイブリッド車の普及によりAT多段化路線の見直しを考える時期になっている
MTからATへと変化してきたトランスミッション
最近、内燃機関車では手動変速機(MT:マニュアルトランスミッション)を採用するケースは少ない。MTは一部のスポーツカーのための設定になっている。
MT以外では、自動(多段階)変速機(AT:オートマチック・トランスミッション)や無段変速機(CVT:コンティニュアリー・バリアブル・トランスミッション)を採用している。そのATでは、2速、3速、4速、5速、6速、8速、さらに10速という順に多段化が進んだという歴史がある。
時計の針を戻すと、筆者の実体験としては1970年代にトヨタが導入した「トルコン車」の走りを思い出す。当時のディーラーではATというより、トルクコンバーターを略してトルコンと表記していた。発進時にクルマがまったりと動いた記憶がある。
時代は進んで1990年代から2000年代にかけて、日本メーカーは当時シェアが拡大していたFF車に、ATの多段化ではなくCVTの採用を検討するようになった。
見方を変えると、大きな開発コスト(導入コスト)をかけられない中堅メーカーは、CVTと合わせてAT多段化も視野に入れた商品戦略も進める大手とは違い、当分の間は4速ATで我慢しながら、CVTが大手メーカーの手によって世の中に広がり量産効果が出るのを待っていた。当時、筆者は中堅メーカーの開発陣と意見交換して、彼らの辛い思いを直接聞いたことを思い出す。
ただし、CVTは北米市場で導入が進んだが、初期モデルはアクセルワークに対してCVTの動き(クルマの加減速)にズレを感じた。その後、CVTの開発が進んでアクセルに対するダイレクト感が改善されていく。
トランスミッション大手のティア1各社の日米各所工場も視察したが、AT多段化とCVTモデル多様化を並行して開発・量産していた。
たとえば、トヨタ関連では2016年12月に8速・10速AT「Direct Shift-8AT・10AT」を発表している。開発の狙いは、その時点で、世界トップレベルの伝達効率の実現、アクセル操作に即応するダイレクト感あふれる走り、多段化と高性能化をコンパクトな設計で両立、という3点を挙げた。
多段化することでユニット全体が大きく・重くなることを避けるために、トルクコンバーターの小型化などを実現した。8速ATはFF用として、また10速ATはFR用という設定だ。
2020年代に入ると、日本ではハイブリッド車が主流となり、直近ではアメリカでもハイブリッド車の需要が拡大しており、トランスミッションとモーター・ジェネレーターを組みわせる装置が主流になった。そろそろATの多段化路線の一部見直しを考える時期になっているように感じる。
