
この記事をまとめると
■高速道路は重要インフラであるため一般道以上に頻繁な凍結防止剤散布が行われている
■凍結防止剤には塩化ナトリウムなど3種が用途に応じて使いわけられる
■自動散布システムにより効率化と省力化が進み将来的な無人化も視野に入っている
見えない技術と現場の工夫
寒くなると、路面が凍結するなどして大変危険な状態になる。そのようなときに、車両は冬用タイヤやチェーンを使用して安全を確保する。これは、一般道路でも高速道路でも同じことなのだが、高速道路はいくぶん凍結しているところが少ないように感じられる。その理由は、凍結防止剤を散布しているからなのだ。
もちろん、一般道路でもそういった処置は行われている。しかし、高速道路は地域の重要なインフラであるために利用者が多いことに加えて、高速で車両が通行するために危険が大きいなどといったことから、可能な限り頻繁に凍結防止剤などを散布して路面凍結を防いでいるのだ。
凍結防止剤は、主に塩化ナトリウムや塩化カルシウムが使用される。前者は、比較的安価で持続性があって凍結防止効果が高い。これに対して後者は、水に溶けやすく多量の溶解熱を発生させるために即効性がある。高速道路ではその特性から、前者を使用することがほとんどだという。
散布には専用車両を使用する。トラックをベースにしたもので、ホッパ(粉・粒状のものを荷室に入れるための漏斗状の装置)の付いたタンクや散水タンクを架装しているのだ。散布方式には、以下の3種類がある。
固形散布方式:固形の凍結防止剤をそのまま散布する方法で、即効性は低いが持続性がある。
溶液散布方式:薬剤溶液を散水車で散布する方式で、持続性に劣るが即効性がある。
湿式散布方式:固形と溶液の薬剤を混合して散布する方式で、即効性と持続性を兼ね備えている。
凍結防止剤散布車の出動には基準があり、地域によって違いがある。判断基準となるデータの収集は、気象予測と道路巡回による現場確認が中心だ。その内容は、気温・降水確率・降水量・路面温度のほか、霜が降りることで路面が濡れて凍結する恐れがある場合などである。ただ、凍結防止散布車の台数には限りがあるために、各地で散布基準に達すると効率的な散布をしなければ、間に合わなくなる可能性が出てくる。
そこで開発されたのが、凍結防止剤最適自動散布システムだ。これは、事前に先行する氷雪巡回車に、取り付けられた路面状況をとらえるセンサー、カメラなどのデータと、指令台の操作システムを連動させて薬剤散布の判断をしようというものだ。この判断をもとにして凍結防止剤散布車に指令を出し、必要量を必要範囲に対して自動的に散布するのである。
氷雪巡回車両や凍結防止剤散布車の位置はGPSで把握し、指令台との間はインターネットで接続する。これにより、路面状況に合わせたきめ細かな散布を自動的に行えるようになるため、効率的で確実な路面凍結防止作業ができるのである。薬剤についても必要量を計算して細かく量を調整できるから、コストの削減にもつなげられるのだ。
また、凍結防止剤の散布にあたっては、除雪車が先行して作業をすることも少なくない。このような場合は、氷雪巡回車とあわせて隊列を組むこともあるので、将来的には隊列走行を行う可能性もある。これが可能になれば先頭車両にのみ運転手を置けば、あとは無人で自動的に作業を行ってくれるようになるのだ。このように、高速道路の安全を守るために日々新たな技術が開発されているのである。
