
この記事をまとめると
■用途や車両重量によって最適なブレーキキャリパー形式は変わってくる
■片押し式は構造が簡単で軽量化しやすく放熱面でも有利になる
■対向式はパッド全面を均一に押しやすく制動力とコントロール性に優れる
バネ下重量や用途を含めた総合設計が重要
ディスクブレーキはペダルを踏むとエンジンルームにあるマスターシリンダーを押し、そこからフルードが圧送されてブレーキキャリパーに届く。キャリパー内部のピストンを押して、パッドをローターに押し付けてブレーキが利く仕組みとなっている。
このキャリパー内のピストン、純正ブレーキではその多くが片押し式と呼ばれる構造。ピストンが片側にひとつだけあり、それがパッドを押してローターに押し付けると、スライド式のアームを使って、ローター外側のパッドもローターに押し付けるという仕組み。片側だけ利きそうなものだが、ちゃんと反力で均一にパッドがローターに押し付けられるので心配はない。
対する対向式キャリパーは、このピストンがローターの内側と外側に配置されているもの。内側、外側それぞれに1つずつピストンがあると2POTキャリパーと呼ばれる。これがそれぞれピストンがふたつずつあると4POT。3つずつあると6POTとなる。
ピストン数が多い=高性能とされているイメージがある。必ずしもそうとは限らないが、まず対向式で複数ピストンになるほどパッド全体を均一に押し付けやすく、摩擦力を引き出しやすい。片押しの1POTだとどうしてもパッドの中心付近しか押せないので、パッド全体が使えているかというと難しい。4POTや6POTになると、パッドを横長の形にしやすい。ローターの外側に沿って、長い形状のパッドにしてそれを複数のピストンで押すことで均一に摩擦力を引き出しやすい。それだけ利きもコントロール性も出しやすい。
対する片押しは前述のようにパッドを均一に押すことが難しいので、大きな制動力を引き出すのには向いていない。そこで重量車やスポーツカーでは、純正でも対向式キャリパーが使われているのだ。
しかし、片押しキャリパーにもメリットがある。まず、外側のパッドは背部が外気に当たっているので冷えやすい。放熱性に優れているのだ。また、軽さという利点もある。ブレーキはサスペンションのスプリングよりも足まわり寄りのバネ下部分なので、バネ上部分よりも重量がパフォーマンスに影響しやすい。ときには5倍や10倍もの効果があるといわれているので、つまりバネ下で1kg軽くなれば、ボディを5kgや10kg軽量化したような効果があるというのだ。
これは実際、数百グラム軽いブレーキパッドと、普通のパッドを乗り比べたことがあるが、その程度の重量でも明らかに差が感じられたので、キャリパーでそれなりに軽くできればそのメリットは十分にあるのだ。
見た目には対向式キャリパーがカッコいいが、あえて軽さを意識した片押しキャリパーで、しっかりと利くブレーキシステムを構築するのも渋い。そういったどちらにも利点があるのが、片押しキャリパーと対向式キャリパーなのだ。
