
この記事をまとめると
■ここ10年あまり物流の輸送重量はほぼ横ばいだが物流件数は30年前から倍増している
■ラストワンマイル配送が重要視されるなか次世代電動モビリティに注目が集まっている
■街なかの配達を特定小型原動機付自転車が担うようになる日も近い
ラストワンマイル問題を解決するモビリティ
「物流2024年問題」がいわれるようになってから、物流業界では荷物が運びきれないといった事態が起きかねないという危機感がある。そんなに荷物の量が増えているのかというと、必ずしもそうではない。荷物の輸送重量を見ると、ここ10年あまりの推移はほぼ横ばいから微減傾向にある。これに対して、物流件数は30年前と比べると倍増している。これは、貨物1件当たりの量が減少した反面で、個数が大幅に増加したということを示しているのだ。
1度に多くの荷物を同じ着荷先に運ぶのなら、大型トラックを使うのが効率的である。しかし、小口の荷物を複数の着荷先に届ける場合だとそうはいかない。小型トラックや軽トラ・軽バンといった小型の車両を使って配達をすることになる。ある程度荷物を載せることができて、小まわりが利くから使い勝手がよいのだ。
ただ、小型とはいえ車両は決して安いものではなく、メンテナンスや燃料といったランニングコストもばかにならない。運賃改定の努力はされているものの、なかなか進んでいないのが現状だ。また、小口配達は狭い地域のなかで何カ所もまわらなければならないから、そのたびに車両を移動しては停めるのを繰り返すことになる。手間がかかるというだけではなく、排出ガスによる地球温暖化にも悪い影響を与えていると考えてよい。こういった状況を打破するべく、注目されつつあるのが次世代モビリティである。
これまでも、小型トラックや軽トラ・軽バンなどによる配達を補完するために、自転車+リヤカーなどが使用されてきた。しかし、ただでさえ重い荷物を運ばなければならないところに、坂道などがあると自転車では配達員の負担はたいへん大きなものになる。電動の次世代モビリティであれば、こういった問題を一挙に解決する可能性があると考えられよう。
物流業界で注目されるきっかけになったのは、特定小型原動機付自転車の登場だ。これは、
・長さが190㎝以下で幅は60㎝以下。
・定格出力が0.60kW以下の電動機を用いる。
・最高速度が20㎞/h以下。
・最高速度表示灯(緑・点灯)を備える。
・ オートマチック・トランスミッション機構をもつ。
といった要件を満たしたものだ。これにナンバープレートの交付を受けて自動車賠償責任保険(自賠責)に加入、運転者は16歳以上でなければならないが運転免許証は必要ない。
ちなみに、特例特定小型原動機付自転車(特例)は上記要件に、最高速度が6km/h以下のモードを備えて最高速度表示灯(緑・点滅)を付けていれば、歩道の走行が認められるという車両だ。
特定小型原動機付自転車の制度は、もともと電動キックスケーターを想定したもの。しかし、新たなラストワンマイルの輸送車両として提案されているのは自転車タイプ(電動アシスト自転車とは違ってペダルはない)・スクータータイプ・4輪タイプなどだ。車両によってカーゴの位置は違うが、50㎏程度の荷物を運べる設計になっているものが多い(乗員の体重を80㎏とした場合)。1回の充電で走れる距離は、約30~50km。特例モードを備えるタイプなら歩道を走行することも可能だから、さらに配達効率が向上するだろう。
街なかの配達を、特定小型原動機付自転車が担うようになる日も近いようだ。
