
この記事をまとめると
■猛暑の常態化で停車中の車内は命に関わる環境となる
■蓄冷方式や電気式の停車時クーラーが解決策として登場
■燃費悪化や排ガス問題を抑えつつ運転手の職場環境の改善につながることが予想される
安全と環境、働きやすさを同時に支える現実的な対策
地球温暖化による異常気象の影響で、ここ数年は日本列島各地で猛暑が続いている。この暑さは衰えることなく、今後も継続するとのことだ。家のなかにいても熱中症になるというぐらいなのだから、クルマのなかならサウナ風呂に入っているようなもの。クーラーを止めた状態で車内に留まるのは、命にかかわるほど危険な行為といっても過言ではない。
そこで、温度を下げて快適な車内環境を保つ装置であるカーエアコンが重宝されることになる。半世紀前なら大半のクルマがオプション設定で、15万~25万円ほどの費用をかけて装着していたものだ。しかし、いまでは純正装備品のひとつとしてほぼすべてのクルマに取り付けられている。
クルマ用エアコンの冷房システムは、家庭用のそれと大きく変わることはない。コンプレッサー・熱交換器・エキスパンションバルブ(家庭用では減圧機)などを使用し、冷媒を気化させてまわりの熱を奪うという気化熱の原理を応用しているのだ。
このとき、家庭用はほとんどの場合に動力として電気が使われる。これに対して、内燃機関エンジンを使用する車両の場合は、パワーステアリングポンプやオルタネータと同様に、ベルトを介してエンジンの回転力を動力として利用する。いい換えれば、エアコンを動かすためにはエンジンも動かし続ける必要があるということだ。
ゆえに、路線バスや観光バスは、走っている最中ならクーラーを利かせていられるが、待機中はエンジンを切るからクーラーも止まってしまう。しかし、夏場にクーラーをつけない状態で車内待機はできないから、エンジンをかけてアイドリング状態にすることで、クーラーを作動させなければならなくなる。このとき、問題になるのが燃費の低下や環境への悪影響である。自治体のなかには環境悪化防止の観点から、アイドリングストップ条例を定めているところもあるくらいだ。
こういった問題の解決策として、注目を集めているのが停車時でも使用できるクーラーである。これは、トラックやバス用に開発されたもので、運転手が停車中の車内で快適に過ごせるように考え出されたアイテムなのだ。大別すると2種類の仕組みがある。ひとつは蓄冷方式だ。このタイプは走行中に蓄冷材を冷却し、停車中にはその冷気を使用するというもの。もうひとつは車両のバッテリーを利用して小型のコンプレッサーを稼働させる電気式だ。いずれも車内全体を冷やすというものではなく、運転手に冷気を当てて暑さをしのぐといったパーソナルタイプになっている。
なかでも人気の電気式は、車両に取り付けられているバッテリーから電源を取るのだが、3~8時間程度の稼働が可能だ。また、万一にもバッテリー上がりといったことがないように、残容量の監視機能がついているのだ。機器はあと付けが可能で、コンパクトだから運転手が圧迫感を持つことがない。より効率的に使用するためには、あらかじめ車内を冷やしておいたり、日陰に駐車するといったことに留意するとよいという。バスの運転手不足が深刻化しているなか、こういった機器の導入で職場環境を改善することも大切なのではないだろうか。
