
この記事をまとめると
■ギリシア文字は古くから車名に多用され高貴で科学的なイメージを演出してきた
■ランチアやランボルギーニ、三菱、いすゞなどが各文字の背景と語感を巧みに利用した
■英語表記だと凡庸な車名もギリシア文字に置き換えることで一気に“カッコよさ”が増幅する
なんだかカッコいい? ギリシア文字の車名
文明開花のころや、第二次世界大戦終結からの十数年あるいは30年間ぐらいは「英語がカッコいい!」ということになり、いろいろなモノに英語名が付けられた。だがそのうち「いまさら英語はありふれてるから」的なノリで、今度はさまざまなモノの名前に英語以外が使われるケースも増えていった。
だが自動車の車名においては、古くから「いまさら英語なんて!」というマインドが各メーカーに浸透していたからかどうかは不明だが、とにかく昔から「ギリシア文字」を、そのまま車名として採用しているケースが目立つ。
なぜ、たとえばΣ(シグマ)などのギリシア文字を車名にしたのかの詳細な理由は不明だ。おそらくは「なんとなく高貴っぽくて科学的っぽくて、カッコよさげじゃん?」ぐらいの理由だったのではないかと推測するが、まあとにかく「ギリシア文字のアルファベットをそのまま車名に採用したクルマ列伝」を見てみることにしよう。
●LANCIA β(ランチア・ベータ)
1972年から1984年まで製造された、フィアット124と共通設計のDOHCエンジンを横置き搭載した小型乗用車。ランチアは1906年の創業時から「アルファ」「ベータ」などのギリシア文字を車名に用いていた。英語表記だと「ランチア B」という、なんだか昼定食のような響きになってしまう場合でも、「ランチア β」にするといきなり高尚な感じが漂うのがギリシア文字の魔力であり、ランチアの創業者もそこに惹かれたのだろう。たぶん。
●LANCIA DELTA(ランチア・デルタ)
もともとはランチア・ベータの後継モデルとして1979年に発表された実用的5ドアハッチバック。それが後に「デルタ インテグラーレ」などに魔改造され、FIA世界ラリー選手権で大活躍したのは周知のとおりだ。
で、ランチア・デルタの車名表記に「δ」というギリシア文字は使われず、あくまでも「DELTA」という表記ではあった。だがデルタ(δ)はそもそもギリシア文字のアルファベットにおける4番目の文字であり、仮にランチア デルタを英語的に表記すると「LANCIA D」という、味も素っ気もない車名になる。
●LAMBORGHINI JOTA(ランボルギーニ・イオタ)
ランボルギーニが1969年、FIAの競技規定附則J項目に合致するよう製作したレーシングカー「J」と、それを模して製作された車両の通称。
イタリア語でJは「イ・ルンガ」と発音されるが、イタリア語では基本的に「j」という文字は外来語にしか使われず、自国の伝統的なアルファベット21字には含まれていない。そこでイ・ルンガの「イ」の音をギリシア文字の「Ι(イオタ)」で表し、レーシングカーであるJとそのレプリカを「イオタ」と通称するようになった……という若干ややこしい背景をもつのが、ランボルギーニ・イオタという車名だ。
