
この記事をまとめると
■アウディスポーツが初のPHEV「RS 5」を発表
■V6ツインターボ+モーターで639馬力を達成し電動トルクベクタリングが最大の目玉
■本国価格は約1700万円スタートで国内販売時期は未定となる
電子デバイスによってスーパースポーツ級の動力性能に
ハイパフォーマンスカーの電動化は、もはや避けられない潮流だ。フェラーリ、ランボルギーニ、マクラーレンといった名だたるスーパーカーメーカーがすでにPHEVモデルを市場投入しているなか、アウディもついにその領域に足を踏み入れた。RS部門を統括する「アウディスポーツ」が初めて手がけたプラグインハイブリッド、それが「RS 5」だ。
セダンとアバント(ワゴン)の2ボディで展開されるRS 5は、改良型の2.9リッターV6ツインターボに130kWの電気モーターを組み合わせ、システム最高出力470kW(639馬力)、最大トルク825Nmを発生する。0-100km/h加速は3.6秒、EVモードでの航続距離は最大84km(市街地では87km)だ。
パワートレインそのものも注目に値するが、RS 5の真価は別のところにある。それが「ダイナミックトルクコントロール」と呼ばれる、後軸トランスアクスル内蔵の電動メカニカルトルクベクタリングシステムだ。アウディによれば、これは量産車として世界初の技術となる。
従来の機械式トルクベクタリングは、差動制限機構とクラッチの組み合わせで左右輪のトルク配分を行うのが一般的だった。しかし、RS 5のシステムは8kWの永久磁石同期モーターをアクチュエーターとして使用し、オーバードライブギアと差動機を介して左右後輪のトルク差を最大2000Nmまで瞬時に生み出す。その応答速度はわずか15ミリ秒、いい換えれば人間のまばたきの約10分の1のスピードだ。
ドライビングダイナミクスコントローラー(HCP1)は、ステアリング角度、スロットル開度、ブレーキ圧力といったドライバー入力と、前後・横方向のG、ヨーレート、スリップ角、車速、路面摩擦係数推定値といった車両状態を常時分析する。そして5ミリ秒ごと(周波数200Hz)に目標トルク差を算出し、電動メカニカルトルクベクタリングシステムがそれを即座に実行へ移す。
この電動システムは、加速時だけでなく減速時やブレーキング時にも機能する。コーナー進入時には擬似的な作動制限によって安定性を高め、脱出時には外側後輪へトルクを寄せることで回頭性を高め、直線では最大トラクションを確保する。ドライブセレクトモードごとに特性を変えられるため、ニュートラルな挙動から意図的なオーバーステアまで、ドライバーの好みに応じた設定が可能だ。
RS 5は、前後トルク配分を担うセンターデフにも新機軸を導入した。プリロード(予荷重)機構により、トルクが加わっていない状態でも常に部分的にロックされた状態を保つ。これにより、コーナー進入時にスロットルオフにした際の回頭性が向上し、内輪側のアンダーステアを最小限に抑える。前後70:30から15:85までの可変トルク配分と組み合わせることで、高いトラクション、正確なダイナミクス、優れた俊敏性を維持しながら常に高い安定性を保つ。
サスペンションは前後ともに5リンク式を採用。RSスポーツサスペンションは、ツインバルブ技術を用いたショックアブソーバーを装備する。圧縮と伸張を独立して制御できるため、非常に快適な乗り心地と極めてスポーティな走行体験の両立が可能だ。ピッチングとローリングを顕著に抑制し、路面状況の変化に素早く反応する。
ステアリングレシオは13:1とベースモデルより大幅にクイックになり、小さな入力にも素早く反応する。車重は2355kg(セダン)または2370kg(アバント)だが、車体剛性はベースモデルより10%向上しており、荷重下での変形を抑えてより引き締まった制御感を実現している。
ブレーキには、標準で20インチのRSスチールブレーキ(フロント420mm・リヤ400mm)を装備。オプションで21インチRSセラミックブレーキ(フロント440mm・リヤ410mm)も選択可能だ。セラミックブレーキはスチール製より約30kg軽量で、セグメント初となるリヤ側へのセラミックディスク装着の恩恵もあり、100km/hからの制動距離は30.6mとなる。
