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「正直EVがまわってくるとトランプのババです……」EVトラック&バイクに振り回される運送&配達現場のリアル (1/2ページ)

「正直EVがまわってくるとトランプのババです……」EVトラック&バイクに振り回される運送&配達現場のリアル

この記事をまとめると

■配送業の世界にもEVトラックなどが浸透してきている

■物流倉庫でオペレーションを担う人にとってEVトラックは厄介な存在だという

■郵便配達を担う人からはEVバイクは使い勝手が悪いという声が挙がっている

EVは配送業にやはり不向きか

 カーボンニュートラルを目指す一環で、世界はもちろん、日本のさまざまな企業でも脱炭素へ向けた取り組みを進めている。自動車業界では、もはや語るまでもないが、電気自動車や燃料電池車といった、排気ガスを出さないクルマの開発、運用を進めている。

 その動きは物流業界にも及んでおり、大手物流企業各社も電気自動車や燃料電池車といったEVトラックやEVバイクの導入を進めている。これらの活動の背景には、先に述べたカーボンニュートラルへ向けた取り組みの一環というのもあるが、工場から倉庫みたいな形で、ほぼ決まった経路でしかクルマを運用しない物流業界にとっては、EVトラックやEVバイクは比較的相性がいいとされている。

 世間一般的には、EVトラックやEVバイクに限らず、電気自動車全般の課題として、航続距離の短さがよく挙げられるが、たとえば航続可能距離300kmのEVトラックを、毎日往復200kmのルートで運用するならそれほど問題ない。また、トラックは昔から騒音問題があったり、重量物を運ぶ際はトルク不足による運転のしづらさも課題として挙げられる。しかし、EVトラックであれば騒音も少ないし、モーターのおかげで力不足という問題もクリアできる。

 つまり、EVトラックをはじめとした電気自動車の導入は、配送業界にとってメリットばかり……と、いいたいのだが、現場の声を聞くと、じつはEVトラックやEVバイクの導入で振りまわされているという。筆者は物流業界のEV導入に反対するつもりは毛頭ないが、現場の声の一例を少し紹介したい。

「これ(EVトラック)が当たるとめんどくさいんですよね」と語るのは、物流倉庫で車両オペレーションなどを担当する女性社員S氏。倉庫にやってきたトラックに、運んでもらう荷物と行き先を指示する仕事をしている。

 訪れるトラックの多くはディーゼルエンジンを搭載する一般的な車両なので、割り当ては比較的スムース。たまに「今日はあっち方面がいい」、「今日はこれ運びたい」みたいなリクエストに応えたりもするそうだが、基本的には深く考えず、そのときのタイミングで車両を捌いている。

 しかし、やってくるトラックのなかには、先に述べたEVトラックも紛れており、たまに配車でまわってくるそうだ。これが悩みの種だと語る。というのも、航続可能距離が短いので、倉庫のある地点から移動できる距離に制限が生まれるのだ。暇なときならそれほど困らないそうだが、繁忙期にこれが来ると、届けて欲しい行き先に、航続距離の問題から配車できず、配車作業が滞るそう。

 彼女は、「行かせたはいいけど、場所によってはバッテリーが足りなくて途中で充電する羽目になって、トータルでディーゼルのトラックの3倍くらい輸送時間がかかるから、運送の効率が悪いんですよね。あれは短距離専門ですね」と語る。

 営業所から個人宅への配送、いわゆるラストワンマイル(近距離配送)であれば、毎日ほぼ決まったルートでの運行なので、充電が足りないなんてことはあまりないそうだが、中長距離輸送でEVトラックを使うとなると、なかなか思うように配車できず、頭脳戦は避けられない様子。なので、オペレーションを担う彼女からすれば、「EVトラックはトランプでいうところのババのような存在」だと話してくれた。

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