
この記事をまとめると
■フィアットのラインアップにはかつて4WDのカンパニョーラが存在していた
■カンパニョーラはラダーフレームにリジットサスを採用した本格派クロカンモデルだ
■もしも同門ジープのプラットフォーム使った現代版カンパニョーラが出たらおもしろそうだ
お洒落でもなくかわいくもない無骨で質実剛健なフィアット
フィアットといえば、イタリアを代表する国民的ブランドであり、小粋で親しみやすいコンパクトカーを数多く生み出してきたメーカーとして知られている。実際には、かつてはヌオーバ500などのRRモデルもあったし、最近ではパンダやフィアット 500Xのように4WDモデルも存在する。それでも、全体としては愛らしくて気取らないクルマというイメージをもつ人が多いだろう。
しかしフィアットはかつて、そのイメージとはまったく異なる、無骨で質実剛健な4WDモデルを送り出していた。それがフィアット・カンパニョーラだ。
車名の「カンパニョーラ」はイタリア語で「農夫」や「田舎者」を意味する言葉。その名のとおり、都会的な洗練さとは無縁の、徹底して実用性に振り切ったクルマとして誕生した。
初代は1951年に登場。戦後復興期のイタリアにおいて軍用や官公庁向けの車両として開発され、いわばイタリア版ジープともいえる存在だった。直線基調のボディにフラットなフェンダー、脱着式のキャンバストップという構成は、まさに道具。華やかさとは対極にあるスタイルだ。
その中身も徹底した実用主義だ。ラダーフレーム構造に前後リーフリジッドサスペンション、そしてパートタイム式4WDを採用。舗装路での快適性よりも、悪路で確実に走り続けることを最優先に設計されている。山岳地帯や未舗装路でも確実に前へ進む走破性は当時としては非常に高く、過酷な耐久テストを通じてその信頼性も証明されている。
1974年にはカンパニョーラは2代目へと進化。外観はやや近代的になりつつも基本構造は踏襲され、ディーゼルエンジンの採用などによって実用性はさらに向上。こうしてカンパニョーラは、軍用のみならず産業用途でも活躍する働くクルマとしての地位を確立していった。
また、そのシンプルな構造は整備性にも優れており、農業や林業といった一次産業の現場でも重宝された。日本でいうところの軽トラック的な役割と、本格クロカンの能力を併せもった存在といえばイメージしやすいだろうか。
そのかわり、快適装備は最低限で乗り心地も決して良好とはいえないが、「どこへでも行ける」という信頼性こそが最大の価値となっていた。
お洒落で陽気なイタリア車という現在のイメージとは対極にある、泥臭くて頼れる存在、それがカンパニョーラだ。現状、フィアットのラインアップには見当たらないキャラクターだが、だからこそいま見ても新鮮。
いまやフィアットはステランティスグループとして本格オフローダーの代名詞ともいえるジープと同門となっている。そう考えると、プラットフォームを共有した「現代版カンパニョーラの復活!」なんてあったらおもしろいと思うのだが……。
