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くさび型の極み! ジウジアーロ作の「アルファスッド・カイマーノ」は名作か迷作か?

くさび型の極み! ジウジアーロ作の「アルファスッド・カイマーノ」は名作か迷作か?

この記事をまとめると

■コンセプトカーは販売促進の役割も担う場合もあった

■アルファロメオではウェッジシェイプの極致を極めた「カイマーノ」があった

■市販スッドは品質問題で評価を落とす結果となった

名作? はたまた黒歴史?

 ジウジアーロが創り出すクルマは、コンセプトをしっかりと形にすることで、じつは大きな宣伝効果があることで知られています。平たくいえば、少々カッコ悪い市販車でも、ジウジアーロに同じ名前でコンセプトカーを作らせたら、それなりに売れてしまうということ。究極のロングノーズ&ショートデッキと称されるアルファスッド・カイマーノにしても、アルファスッドの拡販を狙って作られたもので、目論見どおりスッドはバカ売れしたのでした。

 1971年のトリノショーで発表されたコンセプトカー「アルファスッド・カイマーノ」は、1970年代のトレンドを象徴するウェッジシェイプ(くさび形)の極致ともいわれ、イタルデザインの看板といえるモデルとなりました。キャビンからフロントノーズをストレッチしながら、低くシャープな造形ができたのはスッドに積まれた水平対向4気筒エンジンのおかげ。また、スッドのシャシーを数センチ短くしたことで、よりウェッジなニュアンスが高まったことにもご注目。

 前面から天井までを覆う大きなガラスキャノピーは、ボディサイドのドア部分と一体になっており、フロントのヒンジからドアとスクリーンごとガバっと開きます。なお、サイドウインドウのかわりとして、ドアに小さな開口部が設けられていますが、乗員の胸の高さあたりなので、ドライブスルーでの注文は難儀するかもしれません。

 そして、B & Cピラーで構成する台形のロールバーもカイマーノのスタイルを印象付けるポイント。あまり知られていませんが、ピラーのトップは角度調整式のウイングになっています。が、ランチア・デルタ・インテグラーレのそれと同じく、立てていくほうにしか調整できないので、空力効果についてはイタ車らしくダウトかもしれません(笑)。

 この台形モチーフは翌年のマセラティ・ブーメランでもジウジアーロが繰り返しており、ウェッジシェイプボディとの相性は抜群といえるでしょう。こうしたフラットでシャープなラインをもったカイマーノやブーメランが、傑作「ロータス・エスプリ」のデザインベースとなったことは疑いようもありません。

 ところで、ジウジアーロはカイマーノのベースとなったアルファスッドのデザインも担っていました。彼にとって初めての市販車であり、腕によりをかけたこと、想像に難くありません。そもそもアルファスッドは、その名のとおりイタリア南部(Sud)の社会的貧困を救うべく、アルファロメオが専用工場まで建てた戦略モデル。コンパクトなFFハッチバックながら、水平対向エンジンによる重心の低さも手伝って、痛快な運動性能を発揮していました。

 が、ロシアから輸入していた鋼板の品質が悪かったり、新工場による工作精度が低かったりしたことから、市販車は故障が多くて錆びやすいと評判はボロボロ。結果的には、アルファロメオの経営さえ傾かせることになったのでした。

 ジウジアーロにとって、カイマーノとアルファスッドはよき思い出となったはずですが、当のアルファロメオにとってはちょっとした黒歴史。コンセプトカーを紐解いていくと、時として興味深いエピソードがこぼれ出るという好例ではないでしょうか。

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