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サイズの違いじゃないってマジ!? 「マイクロバス」と「小型バス」はまったく別モノだった!

サイズの違いじゃないってマジ!? 「マイクロバス」と「小型バス」はまったく別モノだった!

この記事をまとめると

■日本で見る小さいサイズのバスには用途によって棲みわけが存在する

■マイクロバスはトラック由来で効率重視の設計となる

■小型バスは大型バスを凝縮した快適重視の車両である

見た目以上に異なる成り立ちと役割

 日本の道路で見かける「小さめのバス」には、大別するとふたつの種類がある。トヨタ・コースターに代表されるマイクロバスと、三菱ふそう・エアロミディMJや日野・リエッセといった、本格的な小型観光・路線バスだ。一見すると、両者のサイズ感はたいへんよく似ている。しかし、その成り立ち・設計思想・役割は驚くほど違うのである。

 マイクロバスと小型バスの最大の違いは、そのコンセプトにある。マイクロバスのルーツは、主に小型トラックのコンポーネントをベースにしたもの。いってしまえば、荷物の代わりに人間を乗せようと考えて作られた車両ということだ。1960年代の高度経済成長期に、働き手を安価かつ効率的に送迎したいというニーズに応えて普及した。車両の構造としてはフロントエンジンが主流で、エンジンが運転席のすぐ横や足もとに配置してある。これにより、車体後部まで平坦なフロアを確保しやすくなり、限られた全長のなかで座席数を最大化できたのだ。

 これに対して小型観光・路線バスは、大型・中型バスをそのまま凝縮したような車両である。その多くはエンジンを後部に配置するリヤエンジン方式を採用し、振動や騒音の低減や低床化を実現している。トラックシャシーの流用ではなく、最初から乗用のバスとしての高い居住性や、耐久性を追求して設計されているのだ。

 マイクロバスは全幅が2m程度あり、住宅街の狭路や山道でも難なく入れる機動性をもつ。また、量産トラックの部品を多用するため、車両価格もメンテナンス費用も抑えられるのだ。一方、最近までのモデルはリーフサスペンション(板バネ)を採用するものも多く、場合によっては跳ねるような硬さを感じることがあった。もっとも、近年のモデルではエアサス設定も出てきている。

 小型観光・路線バスはリヤエンジンなので前方の視界が広く、路線バス仕様なら低床化が可能で、ノンステップ・バリアフリー仕様にすることができる。また、エンジン騒音が乗客に届きにくいので室内が静かである。観光仕様の場合、大型観光バス並みのリクライニングシートを使用するなど、長距離移動を前提とした作りになっている。

 両者は、用途によって明確な棲みわけがある。マイクロバスは、「短距離・定時・実用」の現場で活躍する。旅館やホテルの送迎・スポーツチームの遠征・作業員の現場輸送などがこれにあたる。運転のしやすさから、大型免許を必要としない(中型免許で運転可能な)車両も多く、プロのバス運転手でなくとも運用しやすいという利点がある。

 いっぽう、小型観光・路線バスは「長距離・おもてなし・公共インフラ」を担う。少人数のプレミアムなバスツアーや、狭隘路線を走るコミュニティバスがその代表格だ。とくに高齢者の利用が多いコミュニティバスでは、ノンステップ構造をもつ小型専用車は代替不可能な存在といえる。

 かつては「トラックの延長」だったマイクロバスも、現在は衝突被害軽減ブレーキや高度なサスペンション技術を搭載し、その境目は以前よりも曖昧になりつつある。しかし、設計の根底にある「効率重視のマイクロバス」と「質重視の小型バス」という対比構造に大きな変化はない。今後もそれぞれの方向性を保ちつつ、進化しつづけることだろう。

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