
この記事をまとめると
■北京モーターショーでは運転席レスの大型トラックや配送バンが展示されていた
■少子高齢化が進む中国は自動運転とヒューマノイドの普及を加速化させている
■SF映画の世界だった無人物流社会が現実になろうとしている
無人走行トラックの実現も間近な中国の物流業界
「第19回北京国際自動車展覧会(北京モーターショー)」が2026年4月24日から5月3日の会期にて開催された。筆者は新型コロナウイルス感染拡大による渡航自粛などもあり、8年ぶりに北京モーターショーの会場を訪れた。
コロナ禍前、2019年までに筆者が訪れたことのある北京モーターショーでは、屋外とはなるものの、トラックやバスといった商用車展示コーナーもあり、個人的にも楽しみにしていたのだが、今回訪れると、それまでのようなまとまった商用車展示コーナーはなかった。
残念に思いながら会場を歩いていると、そこかしこの完成車出展ブースで目についたのが、運転席レス商用車であった。完全な自動運転システムを採用することで、運転席のない大型トラックや小型のいわゆるライトバンのような車両があちこちに展示されており、ある意味で今回の北京モーターショーのトピックのひとつといっていい状況となっていた。
レベル4の自動運転システムの採用で運転席を排除した結果、軽量化とともに積載量の増加も実現できるとのことであった。小型の無人配送車両のようなものは、日本でもときおり話題となるが、中国では街なかの配送はもとより、大型トラックの完全無人運転走行まで現実的な視点で実現に向かおうとしているのである。
北京市内をクルマで移動していると、前後に青いライトを光らせて走行しているクルマを見かけた。これは青色灯を光らせることで自動運転中(レベル3)であることを周囲に示しているのである。意外なほど自動運転中の車両を見かけることができ、中国の新しい技術導入への取り組みの速さというものを実感した。
日本国内では、トラック、バス、そしてタクシー運転士の働き手不足解消の有効手段として、特定技能外国人の採用が注目されている。しかし、日本とは政治体制の異なる中国では、働き手不足だからといって広く世界から人材を呼び込み定住させることは、政権を不安定にすると考えているようである。
日本よりも加速度的に少子高齢化の進んでいる中国。今回、北京市内で地下鉄に乗ったり、市内を歩いていると、確かにお年寄りの存在が以前より目立っていた。現役世代の減少が続くなか、移民に頼ることのできない中国は、ヒューマノイド(ヒト型ロボット)と無人運転システムに問題解決を求めているように見える。
もちろん、中国にも多数のトラック運転士がいるので、運転席レストラックの普及は雇用問題、つまり失業問題にも直結してしまうため、慎重な普及が必要となる。すでに中国ではヒューマノイドが工場などで働いているとされている。食べたり、寝たりする必要のないヒューマノイドや運転席レストラックは、ほぼ1日24時間働き続けることもできるそうだ(メンテナンス時間は必要のようである)。
無人運転となっても、アメリカの無人運転タクシーを見ていると、車庫での充電ケーブル接続やタイヤ空気圧のチェック、車内外の清掃やシステム管理などではヒトが活躍していたので、当面はこのような職種代えで運転席レストラックの普及に対応していくのではないかとの報道もあった(これも将来的にはヒューマノイドが担うかも?)。
ドライバーのいない大型トラックや小型バンが無人運転で荷物を運び、その荷物を荷台から降ろしたり、届け先に個別に持っていくのをヒューマノイドが行っている風景は、筆者から見ればまさにSF映画の世界にしか見えないが、中国ではそれほど時間をかけずに現実の光景となりそうだなと強く感じた。
