
この記事をまとめると
■都市部では24年ぶりとなる三菱の新車販売店が横浜・関内にオープンした
■横浜「関内店」は整備工場をもたない「販売特化型店舗」という新形態を採用する
■三菱は2030年までに都市部を中心に約30店舗の新規出店を目指し攻勢を強める
4WDの三菱が24年ぶり新規出店で関東都市部に進出
2021年度から5年連続で国内の販売台数とシェアを伸ばし、まさに絶好調の三菱自動車。先日は中長期ビジョンのなかで「パジェロ」の復活を表明するなど、今後ますます注目度が高まることは確実だ。
そんな勢いに乗る三菱自動車であるが、新車販売店として2年ぶり、東京23区・関東圏政令指定都市においてはじつに24年ぶりとなる新車販売拠点「関内店」がオープンした。じつはこの「関内店」は、これまでの同社販売店とはコンセプトが大きく異なっている。通常の販売店にあるはずの整備工場を併設せず、大都市・横浜のど真ん中に「販売特化型店舗」として展開されるのだ。
なぜ、あえて整備機能を切り離したのか。その理由を三菱の担当者は「昨今の資材高騰や建築業界の人手不足により、都市部で大規模な拠点を新設するのは非常に困難です。今回の関内店は別のメーカーの店舗跡地を居抜きで活用しましたが、限られたスペースのなかで、まずは三菱ブランドに触れていただく接点を作ることを優先しました」と語る。
確かに都市部では地価が高く、整備士の確保も全国的な課題となっている。そこで、接客や商談を行うショールーム機能を独立させ、アフターサービスについては近隣にある複数の既存店舗でカバーする体制を整えたのだ。いわば「ショールームのサテライト化」である。
この戦略について、店舗を運営する東日本三菱自動車販売の大平代表取締役社長は、強い手応えを感じているようだ。
「現在、三菱自動車のブランド力は飛躍的に高まっており、新規のお客さまが増えています。とくに関内のようなエリアは可処分所得が高い層が多く、輸入車からの乗り換えも期待できる。アウトランダーPHEVやトライトンのような、他社にはないエッジの効いた商品が、こうした感度の高い都市部のお客さまに刺さると確信しています」
大平氏はまた、同社のネットワークの強みも強調した。
「関内店には既存の顧客はいません。すべて新規のお客さまをターゲットにしています。たとえここで新車を購入しても、住居に近い別の三菱店舗でもサービスを受けることができる。これは我々のような広域ディーラーだからこそできる提案です」
確かに、東日本エリアで90店舗を展開するネットワークを張り巡らせている東日本三菱自動車販売だからこそ、今回の関内店のような「販売特化型店舗」が実現するのかもしれない。
また、オープンを前に行われた取材会には、三菱自動車の五十嵐副社長(国内営業担当)も駆けつけ、この関内店のオープンを「日本市場における攻勢の号砲」と位置づけていることを語ってくれた。
「我々は2030年までに国内販売18万台を目指しています。その達成に欠かせないのが都市部でのネットワーク再構築です。じつは首都圏や愛知、大阪といった大都市圏において、三菱の拠点は長らく『空白地帯』となっていました。これを解消するため、2030年までに都市部を中心に30店舗程度の新店を出したいと考えています」
これまでは、三菱車が欲しいと思っても、近所に肝心の店舗が近くにないために、購入を検討しているユーザーを逃していた現実があったという。
24年ぶりという数字は、三菱自動車がいかに長い間、国内市場、とくに都市部での新車販売という戦いにおいて「守り」の姿勢だったかを物語っている。しかし、いまの三菱は攻勢に出ようとしている。
「パジェロが売れるかどうか? 間違いなく売れると思いますよ。実物を見たとき、私自身が驚きましたから」
そう語る五十嵐副社長の笑顔には、商品力への絶対的な信頼が透けて見えた。パジェロ、デリカ、アウトランダー、そしてトライトン。強力な「4WDの三菱」という個性を、横浜という洗練された都市でどう表現していくのか。関内店の成功は、単なる一店舗の成否を超え、この先の三菱自動車の成否を占う重要な試金石となるはずだ。都市部で三菱スリーダイヤモンドのエンブレムを目にする機会は、これからどんどん増えていくことになるかもしれない
