
この記事をまとめると
■国産乗用車の180km/hリミッターは法律ではなくメーカーの自主的な取り決めである
■大型トラックの90km/h速度抑制装置は保安基準で義務化されており解除は違法となる
■今後は欧州で義務化されたISAのように制限速度を自動で守る機能の普及が見込まれる
リミッターに存在意義はある?
公道で作動させた経験があるドライバーは少数派だろうが、国産乗用車はスピードリミッター機能を有している。登録車で180km/hが上限、軽自動車では140km/h以上が出ないような仕組みが、ほとんどのクルマに搭載されている。
このスピードリミッターについて、あたかも法律で決まっている機能のような誤解も広がっているが、そうした認識は間違いだ。あくまでメーカーが自主的に載せている機能である。そもそも、道交法に則って公道を走行している限り、上記の速度に達することはないはずであり、その意味では「自主規制」という言葉を用いるのもしっくりこない。メーカー間で、無用な最高速スペック争いをしないための紳士協定みたいなものだと捉えることが適切だろう。
じつはドイツ車においても250km/hでスピードリミッターが作動するモデルが多いが、これもメーカー間の紳士協定である。そのため一部の超ハイパフォーマンスモデルに限ってはスピードリミッターが備わっていないこともある。
国産車でも日産GT-Rやホンダ・シビックタイプRなどは、GPSの位置情報を利用してサーキット内に限ってスピードリミッターを解除する機能があったりするし、アメリカで製造されたホンダNSX(2代目)は、車両設定画面からスピードリミッターを解除することができたりする。
つまり、なんらかの手段でスピードリミッターを機能しないようにすることは違反ではないし、当然ながら保安基準にも抵触しない。スピードリミッターをカットしたからといって車検に通らないことはないし、違法改造ともいえないのだ。もっとも、制御系に勝手に手を入れることは、環境性能や安全性能をスポイルする可能性がある。いずれにしてもグレーゾーンであり、自己責任となることは理解しておきたい。
このように、乗用車におけるスピードリミッターはメーカーが自主的に載せた機能といえるが、大型トラックや大型トレーラー(車両総重量8トン以上または最大積載量5トン以上)に関しては、事情がまったく異なる。
2003年以降、道路運送車両の保安基準によって大型トラック等は90km/hで制限がかかるスピードリミッターの装着が完全に義務付けられている。こちらは保安基準では『速度抑制装置』といった正式名称があり、その機能を解除することは違反である。当然ながら、車検には通らない。
しかしながら、最近のドライバーにとっては180km/h(軽自動車は140km/h)という制限速度を圧倒的に超えた領域で作動するスピードリミッターの存在を疑問に思うことだろう。
もはや高速道路といえば、ACC(追従クルーズコントロール)を作動させて走るのが半ば常識となっているからだ。一部の高機能なADAS搭載車であればハンズオフもできる。それなのにACCを利用せず、完全なマニュアル運転でスピードリミッターが働くような速度域で走るというインセンティブがわかないというドライバーが多数だと思う。
多くのドライバーがその存在を意識することないスピードリミッターは、まさに昭和の遺物といえる。
