
この記事をまとめると
◼︎アクセルを戻すとクルマが減速する仕組みを「エンジンブレーキ」と呼ぶ
◼︎エンジンの回転数が上がるので不安に思う人も少なくないが故障する可能性はゼロに近い
◼︎MT車の場合シフトミスでエンジン回転数が上がりすぎるとエンジンが故障する可能性がある
エンジンブレーキってクルマに害はないの?
エンジンブレーキはエンジンの圧縮抵抗を使って、クルマを減速させる仕組み。もっと簡単にいえば、クルマはアクセルを踏めば加速し、アクセルを戻せば減速する。このアクセルオフによる減速作用をエンジンブレーキという。
加速中、あるいは巡行中に少しでもアクセルを戻せば、エンジンブレーキは利き始めるが、アクセルを全閉にすればエンジンはアイドリング回転(1000回転以下)まで落ちようとするので、タイヤの回転力とエンジンの回転力に差が生じて、より車速が落ちる仕組みになっている。
そしてこのエンジンブレーキの使い方には2通りあって、ひとつはシフトダウンを伴わないもの。周囲のクルマの流れをよく読んで、少し車間距離が詰まりそうだと思ったら、アクセルを緩めて、軽いエンジンブレーキで車間距離を調整するのが、運転上級者のひとつの条件なので、これはむしろ積極的に使いこなせるようになりたいところ。
ただこれは穏やかな減速しか得られないので、行き当たりばったりの運転には不向き。先を読む力、計画性のあるドライビングが欠かせない。
もうひとつは、シフトダウンを併用したエンジンブレーキ。クルマは同じ速度でも、選んだギヤによってエンジンの回転数が変わってくる。
たとえば、同じ50km/hでもギヤが5速なら1500回転。3速なら2500回転。1速なら6000回転といった具合。このため50km/hで走行中に、5速でアクセルを全閉にしてもほとんどエンジンブレーキはかからないが、3速で全閉にすると、エンジンは2500回転から800回転ぐらいにまで落ちようとするので、かなりエンジンブレーキの利きがよくなる。
もっとも、パドルシフトなどを使ってドライバーの意思でシフトダウンを行うと、エンジンの回転数が上がり、排気音も大きくなり、エンジンや駆動系に大きな負担を与えるのでは? と心配する人もいるらしい。
しかし、結論からいうと、シフトダウンによるエンジンブレーキを多用したとしても、クルマのメカニカル的な悪影響はないといって間違いない。
AT車で長い下り坂に差し掛かったとき、Dレンジから「S」や「L」、「B」レンジにシフトチェンジしたとしても、コンピュータが最適のタイミング、最適な操作でシフトダウンしてくれるのでまず問題なし。
MT車であれば、上手にブリッピングして、クラッチミートも適切にやらないと、シフトロックしてクルマの挙動が乱れたり、クラッチやミッションに不要なストレスがかかるリスクがあるが、適切な回転数に合わせてクラッチミートのタイミングを間違えなければ、クルマへのダメージなんて心配いらない。
唯一の例外は、MT車のシフトダウン時にシフトミスによってエンジンをオーバーレブさせてしまった場合。これだけは最悪エンジンブローにつながりかねないので洒落にならないが、あとは何百回、何千回エンジンブレーキを使っても、メーカーの想定内で寿命への影響などは考えなくてもいいレベル。今どきのクルマで、エンジンブレーキの多様がトラブルにつながるようなヤワなクルマはあり得ない。
とくにAT車だと、変なタイミングでパドルシフトやシフターを操作したとしても、セーフティ機能が働き、オーバーレブになるようなタイミングでシフトダウンするようなことはないので、故障していない限りは大丈夫。
強いていえば、エンジンブレーキでの減速時にはブレーキランプが点かないので、後続車がいるときにシフトダウンを繰り返し、強いエンジンブレーキだけで減速するのはNG。止まるためのブレーキやしっかり減速させるときのブレーキは、フットブレーキで正確に。
エンジンブレーキは緩やかな減速か、下り坂などで加速するのを防ぐのに使い、それ以外はフットブレーキと、正しく使いわけられるようにしよう。
