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某マンガの豆腐を崩さない走りみたいなもの!? 一流トラックドライバーが実践している「荷物を意識した」走り方とは

某マンガの豆腐を崩さない走りみたいなもの!? 一流トラックドライバーが実践している「荷物を意識した」走り方とは

この記事をまとめると

■トラックドライバーは車両だけでなく荷台内の荷物の動きまで意識して運転している

■急発進や急ブレーキ、急ハンドルは荷崩れや車両の安定性低下につながる

■見えない荷物を想像しながら走ることがプロの技術である

上手なトラック運転は「荷物」で決まる

 トラックの運転というと、大きな車体を安全に走らせる技術に目が行きがちだ。もちろん車幅感覚や内輪差、死角への注意は欠かせないが、実際の現場でドライバーが強く意識しているのは、車両そのものだけではない。荷台のなかにある荷物を、いかに崩さず目的地まで運ぶか。これもまた、トラック運転の大事な技術である。

 一般車の運転でも、急発進、急ブレーキ、急ハンドルはよくないとされる。しかしトラックの場合、その理由は乗り心地だけではない。トラックの荷台には、段ボール、パレット積みの製品、食品、部品、機械、液体容器など、さまざまな荷物が載っている。見た目にはきれいに積まれていても、走行中には常に前後左右の力がかかる。発進すれば荷物は後ろへ残ろうとし、ブレーキをかければ前へ押し出される。カーブでは外側へ振られる。つまり、荷台のなかでは見えない力がずっと働いているのだ。

 荷崩れが怖いのは、単に荷物が倒れるだけではなく、箱がつぶれたり、製品が傷ついたり、液体が漏れたりすれば、輸送品質そのものにかかわるからだ。さらに、荷崩れによって重心が偏ると、車両の安定性にも影響する。大型車や背の高い車両では、荷物の重心が高いほど横揺れに弱くなる。カーブや車線変更で乱暴な操作をすれば、荷台のなかで荷物が動き、それがさらに車体の挙動を不安定にすることもある。

 そのためドライバーは、荷物の種類によって走り方を変えるのだ。パレット積みの荷物なら、全体としてはまとまっていても、段積みされた箱が横方向の揺れに弱いことがある。箱物は角がつぶれやすく、背の高い積み方では上段が振られやすい。

 とくに飲料や薬品などの液体物は、中身が揺れることで独特の遅れた動きをすることがあるため、経験がものをいう運搬物といえる。その仕組みだがブレーキをかけたあとに液体が前へ寄り、そこから戻るような力が出るため、乾いた荷物とは違う動きとなる。空荷に近い状態と満載状態でも、ブレーキの利き方や加速感、車体の揺れは変わってくるのだ。

 荷崩れしにくい走り方とは、ゆっくり走ることだけではない。大切なのは、荷物に急な力をかけないことだ。発進はじわっと、ブレーキは早めに、ハンドルは切り始めも戻しもなめらかにする。前のクルマとの車間を広めに取り、信号や渋滞の流れを先に読んで、できるだけ一定の速度で走る。クルマ好きの感覚でいえば、速く曲がるためのライン取りではなく、クルマの重心を乱さないためのライン取りに近い。

 もちろん、荷物を固定するラッシングベルトやストッパー、緩衝材、積み方の工夫も重要となる。しかし、どれだけ固定していても、運転が荒ければ荷物には負担がかかる。逆に、積み方と固定が適切で、ドライバーが穏やかに走れば、荷物は驚くほど安定して運ばれるということだ。そこには、一般車の運転とは少し違う職人技があり、経験豊富なドライバーほど、交差点へ入る前の速度、カーブ手前の減速、路面の段差、店舗の入口の傾斜まで先に見ている。荷物を積んでいる以上、運転席の動きはそのまま荷台のなかへ伝わるからだ。

 トラックドライバーにとって、上手い運転とは速い運転ではない。目的地に早く着くこと以上に、積んだ荷物を出荷時の状態のまま届けることが求められる。荷台のなかは運転席から見えないが、経験のあるドライバーは、その見えない荷物の動きを想像しながら走っている。荷崩れしにくい走り方とは、道路を見るだけでなく、荷台の中まで感じながら走る技術なのである。

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