
この記事をまとめると
■大型コンバインは刈り取りから脱穀、選別までを同時に行う
■最先端技術を搭載し価格は3000万円級に達するものもある
■共同購入やリースなどで導入コストを分散するケースが多い
生産性と省力化を両立
クルマの場合、「3000万円」といえばフェラーリやランボルギーニといったスーパーカーが買える値段。大型のトラックやバスもそれに近い価格になるが、これらはたいてい法人が営業を目的に購入する。すなわち、「3000万円」の車両は個人が簡単に購入できるようなしろものではないのである。
ところが、農業に使用されるコンバインのなかに、「3000万円」という価格のものがあるという。わが国の農業は、法人格をもって大規模に行っているところもあるが、多くは小規模な個人事業者である。コンバイン1台に、「3000万円」などという経費をかけることは容易ではないはずだ。そんな背景のなかで登場した高級コンバインとは、いったいどのようなものなのであろうか。
コンバインという単語には、「結合する」という意味がある。ゆえに、本来なら別々に行うはずの刈り取り・脱穀・選別といった農作業を、走行しながら同時に行うことができる複合型農業機械のことをそう呼んでいるのだ。もう少し嚙み砕いて説明すると、コンバインは「走りながら、前方の植物を正確にカットし、車内のプラントで高速脱穀を行い、籾殻を排出しつつ、穀物だけをタンクに溜める」という、移動式工場のような役割を果たす機械ということである。
コンバインの価格帯は幅広く、家庭菜園や小規模農家向けの2条刈り(一度に2列の稲を刈る能力をもつ)であれば、300万円ぐらいから手に入る。しかし、営農規模の大きなところが導入する最高峰の大型モデル(6条〜7条刈り)ともなると、その価格は2000万〜3000万円程度にまで跳ね上がる。まさに、スーパーカーが買えてしまう金額なのだ。そんな高級機は、一体何が凄いのか。その特徴には、以下のようなものが挙げられる。
近未来的なデザイン
近年、日本の農機のデザインはとても斬新だ。ヤンマーのコンバインは、元フェラーリのデザイナーとして知られる奥山清行氏が手がけたものもあるという。エッジの効いたLEDヘッドライトや流線型のキャビンは、たいへんスタイリッシュだ。
ハイテクを駆使したコクピット
エアコンが完備されたキャビン内には、タッチパネル式の大型モニターを設置。スマホやタブレットと連動し、リアルタイムで収穫量や水分などのデータを計測・分析する。さらに、GPSによるロボット自動運転機能も搭載されており、運転席に座っているだけで精度の高い収穫ができるのだ。
過酷な地形を制する足まわり
ワイドなクローラと、車体を常に水平に保つ「自動水平制御サスペンション」を搭載。どんな悪路でもスタックせず、時速2m/s以上のスピードで稲を刈り取ることができる。
ただ、いくら便利な機械とはいっても、農家が単独で購入するにはあまりに高額だ。しかも、活躍する期間は秋のわずか数週間である。そこで、地域の農家が協力して共同で購入してシェアをしたり、農協などからリースをしたりすることも多いのだという。また、なかには他の農家の収穫作業を請け負って、その受託料で償却する例もあるのだそうだ。
3000万円の自動車は「ロマンや趣味」の世界なのかもしれないが、高級コンバインは過酷な作業から農業従事者を解放し、わが国の農業を守るための救世主ともいえる存在だ。もし、田んぼで活躍する近未来的なコンバインを見かけることがあったら、日本の食を支える最新のテクノロジーに思いを馳せてみてほしい。
