
ニッポンの自動車産業の最新技術がスゴい
自動車系サプライヤーというとクルマ関連のみで事業展開しているように思われがちだが、じつはクルマ以外の分野にも進出している。そこで今回は産業機器やエネルギー分野、また物流や製造支援、医療系に挑戦している企業とその取り組みに注目したい。
工場と研究現場を支える「運ぶ・動かす」技術
モビリティの代表格であるクルマを支える自動車系サプライヤーにとって「運ぶ」「動かす」といった移動に関する事業はお手の物だ。自動車生産は日本の基幹産業であり、産業機器や製造支援などの分野も得意とする。
ロボティクス分野も展開するブリヂストンは、社内ベンチャーのソフトロボティクス・ベンチャーズが製造現場などでのピッキングに参入。タイヤの開発、生産で得たノウハウを活かしたゴム人工筋肉(ラバーアクチュエーター)を開発している。最新作の汎用的なロボットハンド「TETOTEスリムモデル」は、狭い隙間へのアプローチが可能で、意匠部品を傷つけずに保持できるため、自動車製造などにおけるピッキング作業の自動化に貢献している。
自動車産業用ロボットの開発・製造を行う、デンソーウェーブが開発したのが2次元バーコード「QRコード」だ。現在では居酒屋のセルフオーダーなど、日常のさまざまな場面で使われているが、もともとは自動車部品の生産現場における「バーコードの容量不足」や「読み取り効率の悪さ」といった課題を解決するために生まれた技術である。19994年に開発されたが、いまや国際標準として認められており、決済や物流をはじ
め、世界中で欠かせない存在となっている。
持ち前の得意分野を自動車以外の産業車両や建機などに活かしている例もある。ショックアブソーバーをはじめとするサスペンションでお馴染みのカヤバは、同社のコア技術である油圧・空気圧技術を活かしたキャンピングカー「ヴィラトール」を受注生産している。本業であるクルマ分野ではあるものの、重量のあるキャンピングカーでも快適な走りを実現するカヤバらしい事業といえる。クルマ以外では、建設機器向けのモーターやシリンダー、ポンプなどのサプライヤーとしても知られ、農業機器やフォークリフトなどの産業車両、新幹線をはじめとした鉄道向けサスペンションシステムなども手がけている。
走りを支える技術は建機・鉄道・航空でも活用
BYDがEVフォークリフトを発売するなど電動化が進むなか、豊田自動織機は10年ほど前から燃料電池フォークリフトを発売し、約450台を市場に送り出している。
鉄道分野では曙ブレーキ工業も活躍する。新幹線向けディスクブレーキでは、300系「のぞみ」向けなどで国内約半数のシェアを誇り、海外向け新幹線にも採用されている。1車両につき8〜16個のディスクブレーキを装着。16両編成の新幹線車両N700系では、大人ひとり分ほどの重さのディスクブレーキが128個も搭載されている。
ベアリング大手のNTNは、航空宇宙向けベアリング(軸受)の生産能力増強を図るとともに、航空宇宙分野の次世代エンジン、ドローン、無人航空機、空飛ぶクルマなど、ハイブリッドモビリティ向けの新たなニーズに対応するソリューションを提供するなど、クルマ以外のモビリティ分野にも力を入れている。
