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もう走れない……別れた愛車がカバンに! アートに! 群馬の解体屋が始めたサービスに嬉し涙が止まらない!!

もう走れない……別れた愛車がカバンに! アートに! 群馬の解体屋が始めたサービスに嬉し涙が止まらない!!

お客さまの愛車を買い取りカバンを作ってお返しする

 シートベルトやエアバッグといった端材から、バッグや小物が生まれる「アップサイクル」。環境やSDGsといった言葉が先に浮かびがちだが、ここで紹介するのは、少し違った角度から向き合うスタイルだ。キーワードは”アート”。クルマの廃材を素材に、楽しみながら価値を生み出す、そんなアップサイクス事業を行っているのが、「車の解体工場 株式会社ギヤ」の上村正則さんだ。

──現在注目されているアップサイクルは、いつ頃から始められたのですか?

「会社設立から3年後の2019年頃ですね。ちょうどコロナ禍に入る少し前くらいからです。もともと解体業に長くいるなかで、ゴミの問題を肌で感じていたんです。災害現場やクルマの最終処分場を目の当たりにして、『ただ解体して終わりでいいのか?』と。解体作業自体もリサイクルの一環ですが、そこからさらに出るゴミ、例えばシートベルトやエアバッグ、ガラスなどは、当時は多くが廃棄されていました。そこで『何かできないか』と考え、まずは一番身近で丈夫なシートベルトとエアバッグを使ってバッグを作り始めたのがきっかけです」

──バッグ以外にも、ロボットやアクセサリーなど多種多様な作品がありますね。

「バッグだけじゃなくて、もっと自由にやりたくて。例えば自動車のドアガラスを粉砕して焼成したアクセサリーなどがあります。強化ガラスって粉々になる性質があるでしょう? それを電気炉で溶かして、表面張力で丸くなったものを組み合わせて形を作っています。ほかにも、ヒューズや基板を使ったロボットやアクセサリー、タイヤを使ったプランターなんかも作っています。最近のお気に入りは、クルマの電装部品の銅と真鍮で作ったバラの花ですね」

──これはもはやリサイクルというよりアート作品ですね!

「そう言ってもらえるとうれしいですね。僕はこれを『オートクラフト』と呼んでいます。SDGsとかアップサイクルって言うと、なんだか意識高くて堅苦しいじゃないですか(笑)。それよりも、『これおもしろいね!』『すごいね!』って楽しんでもらいたい。子ども向けのワークショップもやっているんですが、廃材を見て『これは何に見える?』って想像力を膨らませてもらうのが楽しいんですよ」

──ビジネスとしての側面はいかがですか?

「正直、カバン単体では全然儲かってないですよ(笑)。でも、これが会社の宣伝にもなるし、何よりやりたかったことがあるんです。それは、お客さまが長年乗った愛車を買い取らせていただいた際に、そのクルマのシートベルトを使ってバッグを作り、プレゼントすること。『20年乗った愛車を手放す』というとき、そこには思い出が詰まっているじゃないですか。その一部を形にしてお返しすると、本当に喜んでいただけるんです」

──それは素晴らしいサービスですね。長年乗ったクルマの供養にもなりそうです。

「そう、それが一番やりたかったことなんです。遠方から『おじいちゃんの形見のクルマのシートベルトで作ってほしい』と送られてくることもあります。クルマをただの鉄クズにするのではなく、オーナーさんの想いに応える。これからの解体屋は、そういう”想い”を汲み取ることが大切だと思っています」

──最後に、今後のビジョンをお聞かせください。

「僕はこのアイディアを独占したいわけじゃなくて、むしろみんなに真似して欲しいんです。ほかの解体屋さんでもできるようになれば、その分ゴミが減るわけですから。『ギヤさんのバッグが欲しい』じゃなくて、『近くの解体屋さんでも同じバッグを作れますよ』ってなれば最高ですね。僕自身はこれからも『あしたのジョー』の丹下段平みたいに、小さいジム(工場)で細々と、でも世界に通用するような面白いものを生み出していきたい。本業の解体業で汗を流しながら、夜な夜な廃材と向き合って「これ何になるかな?」ってニヤニヤしながら作っていきますよ(笑)」

車の解体工場 株式会社ギヤ

住所:群馬県藤岡市中島493-5
TEL:090-8856-7376

※本記事は雑誌「CARトップ2026年2月号」の記事を再構成して掲載しています

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