
この記事をまとめると
■軽自動車から高級車まで新車価格は大幅に上昇した
■安全装備や高機能化、原材料費の上昇が価格を押し上げる
■市場縮小による量産効果の低下も値上がりに影響している
高くなりつづける新車価格
ちょっと情報のアップデートをさぼってしまうと、新車価格が大幅にアップしていることに驚かされる。いまや軽自動車は乗り出し200万円を超えることは当たり前になりつつあるし、ミドル級のミニバンやSUVでは乗り出し500万円という見積りを目にすることもある。国産の最上級モデルともなると4桁万円のプライスゾーンも珍しくない。
そうした肌感覚を数字で確認してみよう。
若者向けの低価格スポーツカーといえばトヨタ「86」だが、そのルーツとなるAE86型カローラレビンの新車時価格(1983年)は150万円台だった。
それが、いまの「GR86」になると293万6000円~361万6000円となっている。もっともAE86の時代には消費税がなかったので、10%の消費税を含めた価格で比べるのはアンフェアだが、消費税を抜いたとしても1.8~2倍以上となっている。
軽自動車の代表としてスズキ・ワゴンRの価格を初代と現行で比べてみよう。
1993年に誕生した初代モデルの最廉価モデルの価格は、なんと79万8000円(税抜き)だった。それが現在のモデルではエントリーグレードで132万5000円(税抜き)である。2倍とはいわないが、1.6倍以上に値上がりしている。
乗り出し価格の上昇は、本体価格が上がった影響だけではない。カーナビなど快適装備の影響も大きい。車両価格にカーナビなどのオプションを追加することで20万円程度のプラスになってしまう。もちろん、こうした装備を省くこともできるが、バックモニターが実現する安全性や利便性を考えると、ディスプレイ・レスのコクピットが考えづらいのも事実だろう。
安全性という点では、1980~1990年代と現在では雲泥の差だ。国産車にSRSエアバッグが登場したのは1987年のホンダ・レジェンドが最初のモデルになる。つまり、それ以前はエアバッグ自体が量産車には存在していなかった。安価なクルマにSRSエアバッグが標準装備されるようになるのは、ずっとあとの話だ。
それがいまでは、前面衝突だけでなく側面衝突に対応したエアバッグも備えることが当たり前になっている。さらにABSやESCといった電子制御も含めて、安全装備のコストは車両価格を上昇させている。
ボディ自体も衝突安全性と軽量化を両立するために製造コストが上がっている。1980年代のクルマを見ると、Aピラーが驚くほど細かったりするが、あれは衝突安全基準が現代より甘かったから実現できたのであって、いまの安全ボディではありえない設計だ。
一般論として、ボディを丈夫に作るには重くなってしまうが、それでは燃費性能に悪影響を及ぼす。そこでハイテン鋼(超高張力鋼板)を活用するのだが、材料費が高くなるため、コストアップ要素となってしまう。
