WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

「誰が脱ぎ捨てた?」道路端に落ちている“片方だけの靴と軍手”。その裏にあるトラック運転手の切実な事情

「誰が脱ぎ捨てた?」道路端に落ちている“片方だけの靴と軍手”。その裏にあるトラック運転手の切実な事情

この記事をまとめると

■道路に落ちた片方だけの軍手はトラックから落下した可能性がある

■作業用と運転用の靴を履き替えるトラックドライバーも多い

■路上の靴は運転だけではないトラックドライバーの仕事を映している

トラック運転手ならではの事情

 幹線道路や高速道路を走っていると、路肩に片方だけの軍手が落ちていることがある。誰かが歩きながら落としたとは考えにくい場所だけに、不思議に思う人も多いだろう。軍手はトラックドライバーや作業員にとって頻繁に使う道具であり、荷台のあおりや工具箱、キャビン後部のデッキなどに一時的に置かれることがある。そのまま発進し、走行風や車体の振動で落ちれば、道路上に片方だけが残る。また燃料タンクのキャップにかぶせてあるものが落ちるパターンも多いのだ。

 そして、軍手ほど多くはないものの、道路には時折「靴」も落ちている。しかもスニーカーや作業靴が片方だけということが少なくない。歩行者が靴を脱ぎ捨てたわけではなく、これにもトラックドライバーの仕事環境が関係しているようだ。

 トラックの運転席には、1足だけでなく複数の靴が積まれていることが珍しくない。運転用のスニーカーやサンダル、荷役作業で履く安全靴、雨天時に使う防水靴や長靴など、作業内容や天候に応じて履き替えるためだ。一般の乗用車では靴を履き替える機会はあまりないが、トラックは運転する場所であると同時に、仕事道具を保管する空間でもある。

 とくに安全靴は、荷物の積み降ろしや倉庫内の作業で足を守るために欠かせない。つま先に硬い先芯が入り、靴底も厚く作られているため、重量物を扱う現場では頼りになる存在だ。一方で、その硬さや重さが運転には向かない場合もある。足首を動かしにくかったり、ペダルの感触がわかりづらかったりするため、運転中だけ軽くて柔らかい靴へ履き替えるドライバーもいる。

 問題は、脱いだ靴をどこへ置くかだ。運転席の足もとや助手席、キャビン内の収納に入れれば落ちる心配は少ない。しかし、靴底についた泥や油、雨水を室内へもち込みたくないため、車外のステップやシャシー上の工具箱付近、キャビン後方のスペースなどへ一時的に置くことがある。履き替えたあとに片づけるのを忘れ、そのまま走り出せば、振動や風によって道路へ落下してしまう。

 長靴や安全靴は重いため、すぐには落ちなさそうに見える。ところがトラックは車体の揺れが大きく、段差を越えたときには強い振動も加わる。靴が少しずつ移動し、片方だけが先に落ちることも考えられる。また、荷台やキャビン周辺に置かれた靴を、荷物を固定する際や車両点検中に蹴り落としてしまい、気づかず出発するケースもあるだろう。

 もちろん、道路上の靴がすべてトラックから落ちたものとは限らない。バイクの積載物、引っ越し荷物、廃棄物などからこぼれた可能性もある。ただし、大型車が頻繁にとおる幹線道路や物流施設の周辺で作業靴が落ちている場合、ドライバーが履き替え用として積んでいた一足という見方には十分な現実味がある。

 道路に落ちた軍手と靴は、一見すると無関係な忘れ物に見える。しかし、どちらも「運転するだけでは終わらない」というトラックドライバーの仕事を映したものだ。運転、荷役、点検、雨天作業に合わせて道具を使いわけ、その一部が車外へ落ちてしまう。路肩に残された片方の靴は、トラックの運転席が操縦席であると同時に、小さな更衣室であり、仕事道具の収納場所でもあることを物語っている。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了