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マツダがハイブリッド全盛時代に「ディーゼル」に賭けた切実な事情。SKYACTIV誕生の裏側

マツダがハイブリッド全盛時代に「ディーゼル」に賭けた切実な事情。SKYACTIV誕生の裏側

この記事をまとめると

■マツダは「SKYACTIV」という技術を売りにしていた

■「SKYACTIV」のなかでも主軸となっていたのはディーゼルだった

■電動車を開発する資金力などを検討した結果ディーゼルに注力した背景がある

あえてディーゼルにこだわった背景

 マツダが、乗用車用ディーゼルエンジンに力を注いだのは、2010年(平成22年)のSKYACTIV発表からである。SKYACTIVとは、経営陣と技術者がともに理想を追求したクルマの姿をいう。そしてSKYACTIVエンジンは、内燃機関の究極を求め、かかわる7つの因子を、ガソリンやディーゼルの区別なく追い求めた理想形である。

 しかし2010年といえば、1997年にトヨタがハイブリッド車(HV)の初代プリウスを発売してから13年が経過している。なぜ、ここでハイブリッドではなくエンジンなのか?

 SKYACTIVエンジン開発を牽引した人見光夫氏は当時、「マツダにハイブリッドがないからだ」と答えた。エンジンに加えモーター技術も併用するハイブリッドは、マツダのような規模の小さい自動車メーカーには負担が大きすぎるというのだ。

 欧州の自動車メーカーも、マイルドハイブリッドは採用しても、HVには長い間手を付けず、ディーゼルエンジンを磨くことで、二酸化炭素(CO2)排出量削減基準を達成しようとした。2000年以降、欧州市場の約半分がディーゼル車となった。これにマツダも倣った。

 ただし、ディーゼルエンジンは、2015年のフォルクスワーゲン(VW)の米国における排気基準偽装の発覚を受け、排気浄化のため尿素SCR(選択触媒還元)をあと処理で用いることがほぼ不可欠となった。これを適正に使用するには、定期的な尿素水の補充が必要になる。

 これに対し、マツダはSKYACTIVによりNOx触媒のまま排気浄化を達成しようとした。原価を抑えるだけでなく、利用者の負担や手間を省くことを目指した。

 SKYACTIV-Dは、ディーゼルエンジンでありながら、あえて圧縮比を下げ、燃料噴射の最適化と機械損失の低減で出力を維持し、NOxの発生量を抑え、NOx触媒での排気浄化を実現した。

 SUV(スポーツ多目的車)として新たに登場させたCX-5は、SKYACTIV-Dを主力とし、売り上げを伸ばした。より小型のCX-3の販売では、当初ディーゼル車のみの設定とした。CX-5は3世代をつなぎ、現行ではディーゼルエンジンの設定がない。ガソリンエンジンと、それをもとにするマイルドハイブリッドの選択肢である。

 電気自動車(EV)の加速のよさや静粛性は、ディーゼルエンジンをしのぐ。ディーゼルエンジンは低速トルクが大きく、出足の加速に優れるとされてきたが、モーターの比ではない。なおかつ加減速の繰り返しでは、ディーゼルエンジンは応答に遅れる弱みがある。

 マツダの主力は北米市場であろう。これまで欧州でも知名度を確保してきた経緯はあるものの、欧州がディーゼルからEVへ移行を強める今日、ディーゼル車の市場は縮小するだろう。

 国内においても、テスラやBYDがSUVでEV攻勢を強め、存在感を高めている。マツダも電動化への移行をはかる時期を探ろうとしているのかもしれない。

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