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「レコード風」「シール付き」ってマジ!?  デジタル時代の今じゃ絶対あり得ない“昭和・平成のクルマカタログ”がエモすぎる

「レコード風」「シール付き」ってマジ!?  デジタル時代の今じゃ絶対あり得ない“昭和・平成のクルマカタログ”がエモすぎる

昭和生まれのクルマ好きはデジタルのカタログに唖然

 いまやクルマのカタログは、「次のURLからご覧ください」方式が主流だ。世の中のデジタル化、ペーパーレス化に伴い、紙のカタログは絶滅危惧種も同然である。確かにスマホやタブレットがあれば、いつでもどこでも見たいクルマのカタログを見ることができ、そのこと自体は便利な一面もある。

トヨペット・クラウン

 両面印刷のペラ一枚カタログ。シートやダッシュボードなどはイラストで描かれているが、なぜか3段目のアンテナのディティールは写真が使われている。

  

ダットサン・ブルーバード

 スポーツグレードのSSSをはじめ、ワゴンやセダンのDELUXEなどが、さまざまな角度から手描きで描かれている。左上には写真が使われているが、イラストの完成度の高さ、リアルさがひと目でわかる。

  

  

日産セドリック

 ダイナミックな構図で描かれた1971年式の日産セドリック。躍動感あふれる表現から、当時のイラストレーターの高い技術力がうかがえる。

  

  

トヨペット・コロナ

 アローラインと呼ばれるスラントしたフロントノーズが特徴のコロナで海にお出かけ。ブルーバードとの間では、「BC戦争」と称される激しい販売競争が繰り広げられた。

  

  

トヨタ・パブリカ

 空冷水平対向2気筒エンジンを搭載したトヨタ初の大衆車、パブリカ。小さな子どもを連れた若い家族の姿をイメージ。

  

  

スバル360

 日本初の国民車として、1958年に登場したのが富士重工(現・SUBARU)のスバル360。小さな車体ながら、乗車定員は4名を確保していた。

 が、その反面、淋しい思いをしているクルマ好きも少なくないのではないだろうか。何を隠そう僕もそのひとりで、10年くらい前だったか、とあるカーディーラーに行ったときのことだ。セールス氏に「新型車のカタログはありますか?」と尋ねたところ、「もう用意してないんですよ。コチラで見ていってください!」とiPadを差し出され、呆然とした経験がある。これでいいのか!? クルマに愛はあるのか!? と、内心、穏やかならざる心境になった。

日産サニー

 昨今の旧車ブームで人気が再燃しているB110型サニー。1970年登場という時代背景もあり、カタログには当時のカルチャーを感じさせるファッションが取り入れられている。注目は中央のページ。シート単体と、その後ろで海を眺める男女の構図がインパクト大。

  

  

トヨタ・スプリンター

 初代モデルから1970年にモデルチェンジした2代目スプリンター。カタログ表紙に選ばれたのはクルマではなく、5人組の男性たち。誌面内でも大きな写真で繰り返し登場している。

  

  

スズキ・フロンテクーペ

 生い茂った草原のなかで撮影されたフロンテクーペ。カタログに登場するフロンテGT-Wは、逆に都会的な若いカップルと街なかで撮影。

  

  

いすゞ総合カタログ

 両面印刷されたポスターサイズの紙を折りたたんだ、いすゞのカタログ。117クーペやベレットなど、いずれも草原が舞台だ。

  

  

日産スカイラインGT-R

 自動車の進化が、そのままエンジンの進化でもあった昭和の時代。スカイラインGT-R(PGC110型)のカタログ表紙には、3連装ソレックスのアップを大胆に使用し、S20エンジンも大きく掲載。メカニズムについても詳しく解説されている。

  

  

マツダ・ボンゴ

 回転対座シートでレジャーを楽しむ。後部にはミニバイクが積んであるのも当時ならでは。

  

  

トヨタ・ライトエース

 フルフラットといえばいまなら車中泊かもしれないが、カタログではホビースペースとしても活用。ラジコンもブームだった。

 クルマ好きにとって、紙のカタログは大事だ(った)。カタログを手に入れるところから、そのクルマと自分とのストーリーが始まるからだ。僕の場合、小学生の頃には週末の展示会があれば自転車を走らせてディーラーに出かけ、カタログをもらってきた。チラシのような簡易カタログでもいいけれど、好きな車種の厚口の本カタログが手に入ろうものなら小躍りして、そのカタログを寝ても覚めても(時にはトイレのなかでも!)眺めていたものだ。そして、いつか自分で乗れる日が来ることを夢見ていた。

トヨタbB

 2000年に登場したトヨタbB。当時の若者カルチャーで人気を集めていたDJに着想を得て、カタログはアナログレコード風のデザインに。袋もレコードショップのショッパーがモチーフという凝りよう。

  

  

日産Be-1

 いまでも多くのファンを持つ日産のパイクカーシリーズ。その第一弾、Be-1はカタログも個性的だ。「コンセプトブック」と題し、Be-1を象徴する各ディテールを、1ページにつき1カ所ずつ大きく掲載している。

  

  

日産フィガロ

 カタログを開くと「恋愛のために生きる」と題して男女が路上でキス。まるでバブリーなトレンディドラマ!?

  

  

日産エスカルゴ

 パイクカーシリーズで唯一ラインアップされた商用車のエスカルゴ。とはいえ、ラゲッジ容量を各業種のイラストで解説するなどポップな仕上がり。

  

  

ホンダ・バラードスポーツCR-X

 ホンダのコンパクトスポーツCR-Xの初代モデルである「バラードスポーツ」。そのカタログは大判サイズでカルチャー雑誌のようなグラフィックデザインが特徴だった。

  

  

BMWミニ

 R50ミニの最初のカタログ。ケースのなかには小冊子がいくつも収められており、そのひとつを広げると、クルマのバリエーションが視覚的にひと目でわかるデザインだ。

  

  

ルノー・メガーヌセニック

 子どもの情操教育に役立ちそうな(!?)、まるで図鑑のようなカタログ。ウサギの住処と収納を対比させるなど、遊び心が満載!

  

  

トヨタ・セルシオ

 初代セルシオのカタログは、まるで1冊の本のような仕上がり。メカニズムからインテリアまで、図版を用いて詳しく解説されている。

  

  

トヨタ・センチュリー

 カタログという概念を超えた丁寧な作りの内容はさすがセンチュリー! 特徴はオーナーの年齢層に合わせた大きな文字。

 そんな子どもの頃から個々にもらったり、モーターショーで集めてきたカタログの大半は、いまでも手元にある。それぞれのカタログは、時代や車種ごとに装丁もレイアウトもさまざまだ。もちろん、そのカタログのページを初めてめくったときのインクの匂いや新しい紙の手触り、それと自分のその時の面持ちも懐かしく思い出す。そういえば、自分にとって重要な車種のカタログの場合、「見る用」と「保管用」に最低2冊は確保した。

VW ザ・ビートル

 2016年9月にマイナーチェンジを実施したVW The Beetle。このときのボディ色は全8色だったが、なんとも贅沢に各色を表紙にしたカタログ(中身は共通)全8冊が用意された。

  

いすゞ・ビークロス

 いまのクロスオーバーSUVの元祖ともいうべきいすゞ・ビークロス。奮っていたのはスタイルだけでなく、ボディカラーに標準の5色に加え、なんと20色を特注で用意。半ばハンドメイドだったからこそ成せる技だった。

  

ホンダ・シティカブリオレ

 初代シティにチャーミングなカブリオレが登場したのが1984年。このクルマには12色のボディカラーが用意されていた。こうしてカタログにズラリと並ぶ写真を見て「全色揃えたい!」などと思ったもの。

  

BMW 3シリーズ(E46)

 紙のカタログがあった頃のBMWのカタログは美しい写真と丁寧な説明部とで見応え十分。色見本もミシン目でちぎれるようになっていた。もったいなくてちぎってはいないが……。

  

VW ゴルフ

 ヴァリアントもともと純正アクセサリーが豊富なVW だが、シールになったホイールを写真に貼る仕掛け。こちらももったいなくて未使用。

  

トヨタ・イプサム

 初代イプサムのカタログにはディーラーオプションのグリルやストライプ、ホイールキャップのシールが付属。これをカタログ(左)に貼って確認することができた。

  

フィアット500

 最初のフィアット500のカタログ(本国版)はリングノート仕立て。透明のセルロイドに印刷されたストライプ、デカール、ステアリングを写真に被せて見ることができた。

  

アキュラNSX

 日本仕様のカタログも大判だったが、北米仕様のアキュラNSXは、31cm×31cmの豪華なハードカバー。息をのむような美しい写真の合間に、図版と解説がビッシリ。

  

三菱ランサーターボ

 三菱ランサーターボ(ランサーEXターボ)は、ドアミラーやバンパー一体型フロントスポイラーなどが国内モデルとの大きな違い。表紙ではサイドミラーにフロントマスクを映し込むなど、デザイン面の演出もじつにクール。

  

トヨタ・ターセル4WD

 ターセルのカタログではラゲッジが折り込みで表現され、ページを広げるとラゲッジスペースの大きさがひと目で伝わる仕掛け。

 PCやデジタルガジェットの画面で見るPDFのカタログは高精細でキレイだ。コンフィギュレーションを使って画面上でクルマのボディ色を変えてみたり、動画を見たりもできる。だが、いにしえの紙のカタログは、当時、何を訴求し表現したかったのかという「熱量」がいまでも伝わってくるし、そのときの自分の面持ちともリンクする。だからこそ、味わい深く、愛おしいのだと思う。

島崎七生人

 1958年生まれ。クルマを中心に、写真や(カー)オーディオなど、趣味と実益を兼ねたスタンスで活動を続けている。幼少期から集め続けてきたカタログは相当な量にのぼり、かつて暮らしていた古い家では、蔵の床が抜けたというエピソードも。日本ジャーナリスト協会会員、日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

  

本記事は雑誌「CARトップ20263月号」の記事を再構成して掲載しています

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