
この記事をまとめると
■荷物を届けたトラックの帰り道は空車によるコストが発生する
■帰り荷を確保して空車距離を減らすことが輸送効率の向上につながる
■荷物や車両条件を組み合わせ配車全体で採算を判断する必要がある
大型トラックは「帰り道」が勝負
荷物を満載した大型トラックが、数百km離れた目的地まで走って納品する。そこで仕事は終わり、あとは営業所へ戻るだけと思うかもしれない。しかし運送会社にとって、じつはこの「帰り道」が大きな問題になる。荷台が空でもトラックを走らせれば燃料を消費し、高速道路を使えば通行料金もかかる。さらにドライバーの人件費や車両の維持費も必要だ。それなのに荷物を積んでいなければ、その走行区間では運賃収入を得られない。
このように、荷物を積まずにトラックを走らせる状態は一般に「空車」と呼ばれる。運送会社にとっては、空車で走る距離をできるだけ減らし、実際に荷物を積んで走る割合を高めることが、輸送効率や収益性を向上させるうえで重要になる。
そこで重要になるのが帰り荷だ。たとえば東京の運送会社が大阪へ荷物を届けたあと、大阪やその周辺から関東方面へ向かう別の荷物を積んで戻る。東京までの荷物がなくても、名古屋や静岡など帰路の途中へ運ぶ荷物を組み合わせられる場合もある。帰り荷をうまく確保できれば、空車で走る区間を減らし、同じ1台のトラックをより効率よく使える。
ただし、帰り荷は空いている荷台になんでも積めばよいというほど簡単ではない。トラックが空車になる場所と時間、荷物の出発地や納品先が合わなければならない。さらに大型車なのか4トン車なのか、ウイング車、冷凍車、平ボディ車なのかといった車両条件も重要だ。荷物の重量や荷姿、温度管理の有無、積み降ろし方法、集荷・納品時間など、さまざまな条件を組み合わせる必要がある。
かつて帰り荷探しでは、配車担当者が取引先や知り合いの運送会社へ電話やFAXで「明日、大阪から関東へ戻るクルマがあるが、荷物はないか」と問い合わせる方法が広く使われてきた。現在もこうした人的ネットワークは重要だが、インターネットを使った「求荷求車システム」も利用されている。代表例のひとつが「WebKIT」だ。
WebKITは、公益社団法人全日本トラック協会が開発し、日本貨物運送協同組合連合会(日貨協連)が運営する求荷求車情報ネットワークで、1991年に事業を開始した。全国のトラック運送事業者やトラック運送事業協同組合が、荷物情報と空車情報をインターネット上でやり取りできる仕組みで、帰り荷の確保だけでなく、融通配車や積み合わせ輸送などにも利用されている。
もっとも、帰り荷を積めば必ず利益が増えるわけではない。荷物を積むために本来の帰路ルートから大きく外れれば、燃料代や高速料金が増える。積み込みまで長時間待機すれば、ドライバーの拘束時間も長くなる。運賃が低ければ、荷物を積んでも追加コストに見合わないこともある。そのため配車担当者は、運賃だけでなく距離、時間、積み降ろし条件、その後の配車まで含めて判断する必要がある。
荷物を届ければ、そのトラックの仕事が終わるわけではない。次にどこへ向かわせ、何を積ませるかまで考えるのが配車の仕事だ。帰り荷を組み合わせて空車距離を減らすことは、燃料や人員を有効に使い、限られたトラックでより多くの荷物を運ぶための重要な工夫なのである。
