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なぜ運転席に「エアガン」が? 大型トラックの車内にある謎装備の意外な使い道

なぜ運転席に「エアガン」が? 大型トラックの車内にある謎装備の意外な使い道

この記事をまとめると

■トラックにはエアガンのようなパーツが搭載されている場合がある

■車載されたコンプレッサーを使ってエアーを出せるようになっている

■車内の清掃や洗車時に役に立つが使いすぎるとエアブレーキに支障をきたす

トラックだからこそ使える裏ワザとは

 大型トラックの運転席をのぞくと、助手席側やシートの横に、ピストルに似た道具が取り付けられていることがある。これは、圧縮空気を勢いよく噴射する「エアガン」だ。工場ではコンプレッサーにつないで使う工具だが、トラックの車内にコンプレッサーがあるようには見えない。それでも使えるのは、大型トラック自体が「走るコンプレッサー」のような構造をしているからだ。

 大型トラックでは、エアブレーキ、エアサスペンション、シフトやクラッチの補助装置など、多くの部分で圧縮空気が使われている。エンジンで動くエアコンプレッサーが空気を圧縮し、車体のエアタンクに蓄え、必要な装置に送る仕組みだ。空気を「作る・蓄える・使う」設備が、最初から車両に備わっているわけである。

 運転席のエアガンへの空気の取り方は、車種や取り付け方によって異なるが、よくあるのはエアサスシートへの供給ラインを利用する方法だ。大型トラックには、路面の振動を和らげるエアサスシートを採用した車両が多く、そのシートにも車両のエア系統から空気が送られている。この経路に分岐部品を設け、ホースとカプラーをつなげば、車内で圧縮空気を取り出せる。市販のエア取り出しキットにコイルホースとエアガンを接続すれば、必要なときにすぐ使える。電動コンプレッサーを別に積まなくてよいのは、大型トラックならではの利点だ。

 エアガンがもっとも活躍するのは、車内の掃除である。キャビンは運転手にとって仕事場であり、生活の場でもある。乗り降りのたびに靴から砂や土が入り込み、ダッシュボード、スイッチまわり、シートレール、ペダル付近にはホコリがたまる。掃除機のノズルが届きにくい隙間でも、圧縮空気なら一気に吹き飛ばせる。フロアマットを車外に出して吹けば、繊維の奥の砂やホコリまで飛ばせる。エアコン吹き出し口のまわり、ドリンクホルダー、シートと内装の隙間など、拭き掃除がしにくい場所にも向いている。荷役作業で服や靴についた軽いホコリを払うときにも使われる。

 洗車後の水切りにも役立つ。拭いてもあとから水が垂れてくるミラーの付け根、ドアノブ、エンブレム、グリルなどの隙間の水滴を飛ばせる。ホイールの穴やナットまわりの水も飛ばせるので、アルミホイールをきれいに保ちたい人には便利だ。

 荷台の掃除でも活躍する。ウイング車や平ボディなら、荷台やアオリのレール、ヒンジ周辺に入り込んだ砂、小石、木くずを吹き飛ばせる。ラッシングレール、フック、荷締め金具にたまった細かなゴミの掃除にも使える。荷役後に荷室、台車、パレット周辺に残った段ボールの紙粉や梱包材のくずを飛ばす使い方もある。

 天候によっても使い道がある。雪の日はミラー周辺やステップに積もった軽い粉雪を飛ばせるし、雨の日は、カッパや長靴についた大きな水滴を、車内にしまう前に払い落とせる。

 ただし、車両の圧縮空気だからといって、無制限に使えるわけではない。エンジンが止まっていると新しい圧縮空気は作られず、タンクに蓄えた分を消費するだけだ。トラックの圧縮空気は本来、ブレーキなど重要な装置を動かすためのものである。エア圧が下がると警告が出る車両もあるため、必要以上に長く使うのは避けるというのも、トラックならではの注意点といえる。

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