
この記事をまとめると
■車両総重量が制限内でも荷物の積み方次第で軸重制限に抵触する可能性がある
■軸重の偏りは道路や橋の損傷だけでなく操舵性や制動性能にも影響
■最大積載量と車両総重量に加えて軸重まで考慮した重量管理が不可欠だ
同じ重量でも積む位置で危険が変わる
トラックに荷物を積むとき、ドライバーがまず確認するのは最大積載量や車両総重量だ。決められた重量を超えていなければ問題ないと思いがちだが、じつはそれだけでは十分ではない。車両全体の重量が制限内でも、荷物の積み方によっては重量制限に抵触する可能性がある。その鍵となるのが「軸重」だ。
軸重とは、1本の車軸にかかっている重量のことで、トラックは前輪や後輪など複数の車軸で車体と荷物を支えており、それぞれの軸が受けもつ重量は積載位置によって変化する。
道路法に基づく車両制限令では、一般的な重量の最高限度として軸重は原則1軸10トンまでとされている。また、タイヤ1輪にかかる輪荷重にも5トンという制限がある。重要なのは、車両総重量と軸重は別々の基準だということだ。
たとえば車両総重量が規定内でも、重い荷物を荷台の後端付近へ集中させれば、後輪側に荷重が偏る。全体の重量は変わらなくても、特定の後軸だけが10トンを超えることがある。逆に荷物を前方へ寄せすぎれば、前軸への負担が大きくなる。つまり重要なのは「何トン積んだか」だけではなく、「その荷物をどこに積んだか」なのである。
大型トラックやトレーラーであれば、隣り合う車軸にかかる重量の合計にも制限がある。一般的な制限では、軸間距離が1.8m未満の場合、隣接軸重は原則18トンまで。ただし軸間距離が1.3メートル以上あり、それぞれの軸重が9.5トン以下なら19トンまで認められる。軸間距離が1.8メートル以上なら20トンまでとなる。そのため「すべての軸が10トン以下だから大丈夫」と単純に判断できないケースもある。
こうした細かな制限が設けられている理由のひとつは、道路や橋を守るためだ。トラックの重量はタイヤをとおして路面へ伝わる。同じ車両総重量でも、一部の車軸へ重量が集中すれば路面への負荷が大きくなり、舗装や橋梁などを傷める原因となる。
軸重の偏りは道路だけでなく、車両の走行安定性にも関係する。荷物を後方へ集中させすぎれば前輪にかかる荷重が減り、操舵性が低下する可能性がある。反対に前方へ寄せすぎれば前軸への負担が増える。左右に偏った積載では、カーブや急な回避操作の際に車体が不安定になる危険もある。さらに、特定の車軸やタイヤへ重量が集中すれば、ブレーキやタイヤなど一部の部品にも大きな負担がかかる。
厄介なのは、こうした状態を見た目だけで判断しにくいことだ。荷台にまだ空間があり、最大積載量にも余裕があったとしても、適正な重量配分になっているとは限らない。とくに鋼材や機械、重量パレットなどでは、わずかな積載位置の違いでも軸重が変化する。
こうしたことからトラックの重量管理では「最大積載量」「車両総重量」「軸重」の3つをセットで考える必要がある。総重量が問題ないからと安心してはいけない。荷物の重さだけでなく、どこに載せるのかまで考えることが、安全運行と道路を守るために欠かせないのである。
