
この記事をまとめると
■トラックには中型や大型などさまざまなボディサイズがある
■4トンと10トンではまるで運転感覚が異なる
■とくに10トン車は特殊な装備も多く重機を操るようなフィーリングだ
サイズが変わると運転感覚も別次元に
乗用車であっても、コンパクトカーと大型ミニバン、あるいはスポーツカーで運転感覚が大きく異なることは、一般のドライバーでも容易に理解ができるだろう。しかし、トラックの中型(4トン)と大型(10トン)の運転感覚がまったく違うということは、トラックドライバーでなければなかなか理解し難いようだ。
両者の圧倒的な違いは、「視界」と「着座位置」だ。4トントラックの運転席に座った場合、ハイエースなどの大型キャブオーバー車を、そのままひとまわり大きくしたような感覚になるといわれる。視点は乗用車に比べればはるかに高いが、まだ路面との距離感が掴みやすく、地上との繋がりを感じられるレベルなのだ。
一方、10トントラックのキャビンは完全に別次元である。遥か上から、道路を見下ろす形になる。前走車の屋根はおろか、その前を走るクルマの動きまで見通すことができるのだ。この見晴らしのよさは、大型トラックならではの特権である。ただ、視点が高いとキャビン直下や左前方に大きな死角が存在するので、運転するときには細心の注意が必要になる。
4トントラックは、交差点や狭い路地でも意外なほど小まわりが利く。全長は乗用車より長いものの、フロントタイヤの上に座っているため鼻先の見切りがよく、ある程度は乗用車の延長線上の感覚で曲がることができるからだ。しかし、10トントラックは全長が約12mで、ホイールベースは7mを超え、交差点では「内輪差」が数mにも及ぶ。乗用車感覚でハンドルを切れば、後輪が歩道へ乗り上げるなどの事故につながりかねないのだ。
「ケツ振り」と呼ばれる、リヤオーバーハングの飛び出しにも注意が必要だ。10トントラックは後輪から車体後端までの距離が長いため、ハンドルを切った方向とは逆側に車体の後部が大きく飛び出す。左折する際に右側の車線を走る車両にぶつけないよう、常に左右のミラーを確認する必要がある。
4トントラックの総重量は8トン近くあるものの、アクセルを踏めばそれなりに加速する。ただ、足まわりは板バネ(リーフスプリング)を採用していることが多く、荷台が空の状態では路面のギャップを拾い、キャビンが跳ねるような落ち着きのない乗り心地になりがちだ。
これに対して10トントラックは総重量が20~25トンにも達するために、アクセルを踏み込んでも発進感覚が鈍い。しかし、現在の大型トラックは総輪エアサスが主流であることや、巨大な質量により、高速道路などで一度スピードに乗れば滑らかな乗り心地とされる。長距離クルージングの疲労感が、4トントラックよりも少ないといわれるのはこのためだ。
同様に、ブレーキ感覚にも差がある。4トントラックの場合、一般的な油圧ブレーキ(またはエア・オーバー・ハイドロリック)が多く、乗用車のように「踏力に応じてジワッと利く」感覚が残っている。10トントラックは「フルエアブレーキ」なので、圧縮空気の力で強烈に制動する。ペダルを踏み込むというよりは、足首の角度で「空気のバルブの開閉量を調整する」という感覚に近い。
4トントラックは「乗用車の延長線上にある、機動性の高い実用車」であり、10トントラックは「周囲の交通を俯瞰しながら巨大な質量を操る、特殊な重機」であるといえよう。トラックドライバーたちは、この巨大で強大なマシンを、ミリ単位の空間把握能力と卓越した先読みの技術で安全に走らせているのである。
