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トヨタやホンダの店はなぜ隣り合う?  国道沿いに「自動車ディーラー」が密集する合理的なカラクリ (1/2ページ)

トヨタやホンダの店はなぜ隣り合う?  国道沿いに「自動車ディーラー」が密集する合理的なカラクリ

この記事をまとめると

■国道沿いに自動車ディーラーが集まるのは客が複数ブランドを比較しやすいためだ

■広い敷地や整備工場が必要なことも郊外の幹線道路沿いに集中する理由

■人口減少やEVメーカーの新しい販売手法によってディーラーの姿も変わりつつある

同じ地域に集まる意外なメリット

 各地の国道沿いには、トヨタ、日産、ホンダ、マツダなど自動車メーカーの看板が次々と現われる場所がある。都心を離れてドライブするとよく目にする光景だ。さながら「ディーラー街」である。同じ商売の店が隣り合えば、客を奪い合って不利になるのではないか? それなのに、なぜ各社は同じ地域に固まって出店するのだろうか。本稿では、見比べやすさ、立地の条件、店と客それぞれへの効果、そしてこれから起こる変化という4つの視点から、国道沿いにディーラーが密集するメリットを整理していきたい。

 クルマは、何を買うか迷う時間が長い商品だ。価格が高く、いったん買えば長く付き合うことになる。だから多くの人は、1ブランドだけでなく複数のブランドを見比べたいと考える。この「見比べやすさ」が、同業の店が隣り合う大きな理由だろう。

 同じ種類の店が集まる街は、クルマ以外にもある。東京の秋葉原は、パソコンや家電の店が集まる電気街として発展し、いまはアニメやゲーム、アイドル関連の店も加わって、ポップカルチャーの街として知られている。大阪の日本橋(にっぽんばし)も、電気街とオタク街の顔を併せもつ。東京の合羽橋は、調理道具や食器の専門店が軒を連ねる道具街だ。扱う品は時代とともに変わっても、専門の店が集まる街へ足を運んで見比べる、という客の動きは変わらない。

 店が密集していれば、1カ所を歩くだけで、品揃えや同じ機能の商品の違い、値段も比べられる。そうなると、各商品を比較して購入したい客はその街に足を運ぶ。客が集まる街には店が増え、店が増えるとまた客が集まる。競合が隣にいる不利があっても、客が集まるメリットのほうが上まわるから、同業の店は同じ場所に集中するのだろう。

 ディーラー街は、いわばクルマ版の専門店街である。しかも客にとっては、手間が省けるというメリットが大きい。カタログやWebで諸元を調べても、座り心地や視界、荷室の使い勝手は実車に触れなければわからない。実車を確かめる場所が1カ所にまとまっていれば、何軒も走りまわらずにすむ。

 ただし、クルマは家電や調理道具と違って、広い敷地を要する。街なかの繁華街ではなく、郊外の国道沿いが舞台になる理由はそこにもある。

 まず「場所」を決めるのは、土地の事情とクルマ社会の事情である。

 土地の事情を考えてみよう。カーディーラーはショールームに加え、点検・修理を行う整備工場を併設するのが一般的だ。ところが東京都都市整備局の資料によれば、自動車修理工場は住居専用地域では原則として建てられない。第一種・第二種住居地域でも作業場の床面積は50m2以下、準住居地域でも150m2以下に制限される。さらに展示車や来店客の駐車場、入庫を待つクルマを置く広い敷地も欠かせない。となると、住宅が密集する場所への出店は難しく、条件に合う土地は郊外の幹線沿いに絞られていく。

 客の来店手段の事情もある。自動車検査登録情報協会(AIRIA)によると、2026年3月末時点の自家用乗用車の世帯当たり普及台数は、全国平均で1.001台。もっとも多い福井県は1.654台、もっとも少ない東京都は0.401台で、約4.1倍の開きがある。クルマをもつのが当たり前の地域では、来店手段もクルマが中心になると考えられる。幹線道路の沿道は、そうした客が通る場所でもある。

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