WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

【パイクスピーク2016】両席にハンドルがついたコルベット登場!

【パイクスピーク2016】両席にハンドルがついたコルベット登場!

頭の動きで操舵を行うコルベットZ06

 100周年の記念の大会となる第94回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム2016。そのレースの幕開けを告げるペースカー、そしてデモンストレーションランの内容が明らかになった。

2016年のペースカーは、昨年に引き続きアキュラNSX(前回は市販直前の試作車での走行だったが、今回は市販車)。そして、往年の名ドライバー、ロッド・ミレンが駆るペンゾイル・セリカ、そしてもう一台が「SAM」と名付けられたシボレー・コルベットZ06だ。

このデモンストレーションランのに使われるコルベットに乗り込むのは、2名のドライバー。一人は元インディカー・ドライバーのサム・シュミットさん。2000年に事故で四肢麻痺となり車イス生活を余儀なくされているが、レーシングチーム・オーナーとして、インディ・ライツ、そしてインディカー・シリーズで活躍している。

 日本人ドライバーの武藤英紀選手も彼のチーム(サム・シュミット・モータースポーツ。現在はシュミット・ピーターソン・モータースポーツというチームとなっている)でスポット参戦をしたこともある。

そしてもう一人が、ロビー・アンサーさんだ。元インディカー・ドライバーであり、パイクスピークでは9度の優勝を経験した人物である。しかしそれ以前に、この名前からもわかる通り、アメリカで有名なレーサー一家、アンサー家出身である。父親は、インディ500で3度の優勝経験のあるボビー・アンサー。そしてインディ500で4度の優勝をしたアル・アンサーは叔父、アル・アンサーJr.はいとこにあたる。

 アンサー家とパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは非常に深いつながりを持っている。1926年に、ルイス、ジェリー、ジョーというアンサー3兄弟が参戦を開始。1934年にアンサー家初となるルイス・アンサーの勝利を皮切りに数々の勝利を挙げている。前述のボビーはルイスの甥にあたり、13勝とアンサー家の中でも最も多くのクラス優勝を遂げており、アンサー家の勝利をすべて合わせると38勝にものぼるという。

 近年、アンサー家からのパイクスピークへの出場はない。今回の100周年の記念大会へのロビーの参加は、非常にウエルカムな雰囲気で迎えられているようだ。

サムがドライバーを務め、ロビーはサムのサポート役として同乗することになる車両がSAMである。SAMは、頭の動きによって運転を行なうことできるという乗り物で、サム・シュミットさんが2014年のインディ500で走行したことがあるが、それは初代モデルとなるSAM1.0。今回のモデルは3代目となるSAM3.0である。

 SAMとはセミオートノマス・モーターカーの略。ただし自動運転車を製作することを主目的としているわけではなく、サム・シュミットの運転をサポートすることがメインだという。また、ルーフ前端には「FIVE YEARS OUT」とあるが「5年以内には世に出していきたい」という思いが込められている。

車両の操作は、首から上だけで行なう。首を左右に動かすことで操舵。アクセルとブレーキ操作は口にくわえたチューブで吸ったり(ブレーキ操作)吐いたり(アクセル操作)することで行なう(以前は首を前後に倒す操作であったが3.0で変更されている)。コクピット内にはカメラやGPS測位器などがものものしく取り付けられている。4つのカメラでは運転者がつけるメガネの動きを判断し、ステアリングを動かすことになる。

 今回驚いたのが助手席に設けられたステアリング。つまりこのクルマには2つのステアリングが用意されているのだ。このサブステアリングで、何かあった際に、ロビーが運転を代行するという。操作を変わる場合は、助手席側のパドルの操作をすることで切り替わるという。

 このデモンストレーションランは、6月26日のパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム2016決勝後に行なわれる。

 (写真:青山義明)

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了