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大好評! スズキの新型スペーシア&クロスビーが個性的な見た目で目指したものとは (2/2ページ)

大好評! スズキの新型スペーシア&クロスビーが個性的な見た目で目指したものとは

遊び心のわかる経営陣のおかげで個性的なデザインに

 スズキが2017年12月に発売した新型スペーシアとクロスビー(XBEE)は、いずれもシンプルながら個性的かつ可愛らしいデザインを持ち、東京モーターショーへ参考出品されたころから、老若男女問わず多くのユーザーから好評価を得ている。両車のデザインを統括した、スズキ四輪デザイン部エクステリア課の塚原 聖(つかはら・ひじり)課長代理に、それぞれの狙いを聞いた。

──スペーシア、とくに標準仕様のデザインテイストを初代より大きく変更したのはなぜでしょうか?

塚原 聖さん(以下、塚原さん):販売台数が競合他車より少なく、その原因を調べると他車より大きく見えないというのがありました。もちろん実際の寸法はあるのですが、お客さまからするとワゴンRの背高バージョンというイメージを持たれており、ディーラーまで足を運んでいただけなかったのです。そこで心機一転、大きく広く感じるデザインを目指すべきではないかと考えました。

──新型スペーシア・カスタムについては、2016年末に追加された先代「カスタムZ」の方向性を踏襲したのでしょうか?

塚原さん:そう考えていただければと思います。

──新型スペーシア・カスタムと先代カスタムZとの違いは?

塚原さん:大型グリルとヘッドライトのつながりは同じですが、標準仕様とともにエンジンフードの高さを上げていますので、視点が上に上がることでより大きく見えるよう狙っています。逆に、フードとライトの部分は軽自動車と思えないほど抑揚を大きく付け、今までの軽自動車にはない形状を表現しました。大きく見せようとすると単純に四角くなりがちですが、そうではない方法で表現し、空力性能にも配慮しています。

──新型スペーシアのデザインモチーフにスーツケースを選んだ理由は?

塚原さん:ほかにもいろいろアイディアはあったのですが、今回は大きく広く見えるデザインを目指すことを中心に、デザイナーに考えてもらいました。そのなかで、単純な箱ではない、大きいけど愛着が持てる、スーツケースをモチーフにしたアイディアスケッチがあったのです。

 その前に大きく見せるデザインの研究をしたのですが、単純に大きいだけではどちらかといえばエブリイのようなクルマに見えてしまう。「これではお母さんや、そうではない本当に背高軽ワゴンを求めている人が乗るだろうか」と考えたのですが、大きいけれど角が丸いスーツケースをモチーフにしたスケッチを見て「これはいける」と思い採用しました。

──四角いけど丸いモチーフが随所にありますので、ほどよく角が取れた道具感がありますよね。

塚原さん:そうですね。機能一辺倒では必要に迫られて乗っている雰囲気になりますが、そうではなく乗る人自身に愛着を持ってもらえるようにデザインしました。とはいえ、機能面に影響しない部分を丸くしていますので、実用性を損なわず充分な広さを備えています。

──室内もスーツケースをモチーフにしているのがまた面白いですね。

塚原さん:「外がスーツケースなら中もスーツケースにしてしまおう」というインテリアデザイナーの遊び心があったので、本当にスーツケースがはまっているようなインパネになり、「面白いな」と思いましたね。

──これならカスタマイズもしやすそうな雰囲気ですね。

塚原さん:初代スペーシアは子育てママさん向けのイメージが非常に強かったので、男性ユーザーは少なかったのですが、新型は男女関係なく乗っていただきたいと思いました。こういったクルマはママさん以外にも必要としている男性が多く、ママにこだわる必要はない、本当にこのユーティリティを求めている人のために作っています。またディーラーオプションで、ボディカラーと合わせてインパネアッパーボックスとルームミラーカバーをコーディネートできるようにしました。

 なお、ボディカラーとしては「ツールグリーンパールメタリック」という、工具箱のように機能的なテイストを持つ色を新開発しています。

──ソリッド色のように見えますが、実際にはソリッド色ではないのですね。

塚原さん:ソリッド色は経年変化で色が大きく褪せてしまうので、パールなどを混ぜて耐久性を高めています。

──カスタムは、他車ではドレッシーなものが多い傾向にありますが、新型スペーシアのカスタムのボディカラーはホットハッチ的なものが多いですね。

塚原さん:先代カスタムZでは「アクティブイエロー」の評判が良かったので、それを新型にも踏襲しています。

──2トーン色は、ウインドウフレームをボディ同色としているのが面白いですね。

塚原さん:初代の2トーン色はフローティングルーフにしており、軽快でスタイリッシュに見えるのですが、ピラーが中に入るのでキャビンが小さく見えてしまう。新型ではキャビンを大きく見せたいので、サイド面を15〜20mm外に出していますが、さらにスーツケースをモチーフにデザインしていますので、その持ち手を連想させる塗り分けにしました。ただ、プレゼンテーションのときには「本当にこれで大丈夫か?」と相当心配されましたが……(笑)。

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