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セレナやノートが登場! 新生ブランドの「AUTECH」は何を目指すのか (2/3ページ)

セレナやノートが登場! 新生ブランドの「AUTECH」は何を目指すのか

スポーツイメージなら「NISMO」、では「AUTECH」は……

 スペースシャトル「ディスカバリー号」に搭乗した野口聡一さん、「エンデバー号」に搭乗した土井隆雄さんというふたりの宇宙飛行士をはじめ、数々の名曲を持つ加山雄三さんやサザンオールスターズの桑田佳祐さん、世界で活躍したテニスプレーヤーの杉山 愛さんなど、偉大な著名人を輩出している神奈川県茅ヶ崎市。

 その茅ヶ崎市に拠点を構え、ファクトリーカスタムのパイオニアとして多くの名車を生み出してきたのが、オーテックジャパンだ。クルマファンの皆さんに「オーテックジャパンと聞いてイメージするのは?」と問いかけたなら、「やっぱりライダーでしょ」「いやいやアクシスでしょ」「西部警察のZかな」「救急車もそうだよね」などなど、多種多様な答えが挙がるはず。それほどに、オーテックジャパンが手がけてきたジャンルは幅広く、ライダーやボレロ、アクシスといったサブブランドの認知度も高い。

 そこに2017年、新たな歴史が刻まれることとなった。これまでのサブブランドを集約し、ブルーのブランドロゴをはじめ、コンセプトや目指す領域、込められた想いのひとつひとつまでを一新した、新生ブランド「AUTECH」がスタートしたのである。第一弾として2018年の東京オートサロンで披露されたセレナAUTECHに続き、いよいよノートAUTECHも登場。そこであらためて、「AUTECH」ブランドへの想いや今後の展開などについてインタビューさせていただいた。

 茅ヶ崎の抜けるような青い空のもと、オーテックジャパンの本社を訪れると、出迎えてくれたのはAUTECHブランドディレクターの江原 茂さん(写真中央)、デザイン部の日暮(ひぐらし)明紘さん(写真左)、青山雄未(ゆうみ)さん(写真右)。通されたのは、大きなソファやリラックスチェア、ウッドのテーブルなどが、まるでモダンなリゾートホテルのように配置された部屋だった。来客用かと思いきや、よく見れば洗練されたインテリアの中に、デザイナーの皆さんのデスクも置かれている。

 ここがすでに、新生ブランド「AUTECH」の方向性やイメージを具現化した空間だと聞いて感心した。普段から目に入るもの肌に触れるもの、そうした五感で感じるものにまでブランドを意識することは、デザイナーそれぞれの意思統一を後押しし、きっといいインスピレーションを生むにちがいない。

 まずはブランドディレクターを務める江原さんに、新生ブランド「AUTECH」がスタートした経緯を伺った。

「私たちはどこよりも早く、1990年代からライダーやアクシスといった個性的な商品を創出し、お客さまがメーカーの量産車と同じように購入し、保証も受けられ、安心して乗っていただくことができるのと同時に、ほかとは違うプレミアム感やクラフトマンシップといった付加価値を手に入れることができる、ファクトリーカスタムを手がけてきました」

「しかし昨今はそうしたメーカー直系のサブブランドが増え、多様化してきて、新車購入時の選択肢としてあって当たり前の状況です。そこでオーテックジャパンとして今後、どのようにしてより魅力的な商品を提供していくべきかと議論し、新しいブランドとして、社名を冠したシリーズを立ち上げることにしました」

 その方向性を示すにあたり、考えたのが大きく分けて2通りあるというニーズだった。1つは、モータースポーツのDNAを色濃く継承し、スポーティで派手さのある外観や走りの良さといったところに価値を見出すタイプ。そしてもう1つは、そこまでの派手さは好まないが、仕立ての良さや上質感をデザインやインテリアに加えて、走りにも求めるタイプ。前者に当たるのはまさに「NISMO」だろう。

 パフォーマンス、モータースポーツをキーワードとし、走りの良さからくる機能美をデザインにも表現していくというNISMO。そのNISMOとハンドリングや加速感といった走りの部分は共同開発しながら、プレミアム、クラフトマンシップをキーワードとし、デザインや素材で仕立ての良さや上質さを表現していくというのが、「AUTECH」ブランドだ。今後は「NISMO」と「AUTECH」の2つのブランドで、2通りのニーズに応えていくという。

 では、「AUTECH」ならではの価値とは、どんなところで表現されるのだろうか。

「デザイン、ハンドリング、加速感の3つの価値が柱となります。デザインはもちろんNISMOと明確に違いを出していきますが、走りの部分でも、ベースはNISMOと共同開発をしつつ、細かなチューニングではやはりAUTECHらしさを意識して仕上げています。また今後、お客さまからの個別オーダーに応えるというようなプログラムも構築していく予定です。クルマづくりに“仕立てる”という概念を取り入れて、お客さまにとってより特別な1台を提供していきたいと考えています」(江原さん)

 欧州のプレミアムブランドでは、顧客の満足度を高めるために行われていることが多いテーラーメイド。納期などの兼ね合いから、まだどの程度までできるかは検討中だというが、実現すればほかにはない大きな魅力となるはず。しかも、ただ漠然と何でもかんでも要望通りに提供するというよりは、その車種に合ったコーディネーションを、ブランドとして責任を持ってお客さまに届けることが大事だとも語る。それが結果的にお客さまのためでもあるという言葉からも、「AUTECH」ブランドの志の高さを感じたのだった。

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