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果たして雪道でどこまで走れるのか? ネクセンのオールシーズンタイヤを雪道でチェック

果たして雪道でどこまで走れるのか? ネクセンのオールシーズンタイヤを雪道でチェック

シーンを選べば雪道でも安心して走行できる

 昨年10月、初めて冬を迎える愛車プリウスPHVの足もとに履くタイヤを悩んでいた。そこで目をつけたのは、近年注目されているオールシーズンタイヤ。雪や氷の路面は稀にしか走らないので、サマー性能を重視しながら冬季路面も走れるタイヤを求めたのだ。選んだメーカーはネクセンタイヤ。なぜなら、世界一タイヤ評価に厳しいとされるポルシェ「カイエン」の新車装着認証を得たその実力を確認したかったから。

  

 そんなわけで10月から、ネクセンタイヤのオールシーズンタイヤ「Nブルー4シーズン」を履いたプリウスPHVとのカーライフがスタートした。

 このタイヤのサマー性能を簡単におさらいしておくと、シャーベット路面も意識したV字パターンにより、パターンノイズとロードノイズが少々大きい。高速道路では風切り音に紛れるが、目の荒い路面やバイパス路程度の速度域だと気になるはず。

 しかしそれ以外は、非常に印象が良かった。とくに乗り心地はとても気に入っている。プリウスPHVが元来苦手とする鋭い入力の凸凹路などでは、優れたタイヤの柔軟性が衝撃を吸収して快適に乗れる。また、ハンドリングは、初期操舵に若干フニャッとする感覚こそあるが、その先ではグッと的確に支えてくれるので、丁寧な操作を心がければスポーティかつ豪快に走れる。

 感覚としては、サマータイヤでいうエココンフォートタイヤを履いているような感覚を抱く。これで本当に冬季路面を走れるのか? そんな疑いの念を抱きつつ、路面も凍りつく長野の霧ヶ峰から女神湖方面に出かけてみた。

 中央道を使って東京を出て、八ヶ岳を抜けた先の諏訪湖手前から山に入っていく。そこまでの道中、あらためて不安しかなかった。なぜなら、高速道路の追い越し車線をもガンガンに走れる、シッカリとしたそのフィーリングからは、とても雪道が走れるなんて思えなかったから。

 もちろん近年はタイヤのゴムの質が良くなり、スタッドレスタイヤでもブロック剛性を保って、ゴムが路面に接触する接地面積を高めるといった、シッカリ感が高まり乾燥路面性能も上がるという好循環サイクルの作りが主流。

 それにしても、このタイヤのフィーリングはタイヤのブロックだけでなく、タイヤの基本骨格であるケーシングまで剛性があり、レーンチェンジなども含めて、「冬用タイヤ」などという意識を抱かせないのだ。

 標高が上がり出し、まわりに雪の量が増え、徐々に路面にも凍結部も出てきた。さぁ、ここからが本番だ。では、ズバッと結論から述べよう。

・圧雪路:       ◎
・シャーベット路:   ◎
・下地アイスの圧雪路: ○
・アイス路:      △

 タイヤ全体の剛性感もあるし、ブロック剛性もあるので、圧雪にザクっとタイヤ表面の各ブロックが瞬間的に鋭く刺さり、雪を捕まえる感覚が明確にある。しかも、雪質が重く刺さりにくいシャーベットでも、その感覚はある。V字型のトレッドのブロックパターンも関係しているのだろう。何にせよ、心配をよそに冬季路面を確かな手応えで走ってくれる。

 さらに、標高が上がりシーズン中ずっと雪が残っている地域になってくると状況は変わる。タイヤ全体の剛性感が高いことで、路面が圧雪のように少し柔らかいのか、氷のようにガチガチなのか、シートから体に伝わってくるフィーリングが明確で路面判定しやすい。もちろんハンドルからの手応えも、「グニュッ」とした感覚がないので明確に路面状況をつかみ取れる。そんなフィーリングの掴みやすさもこのタイヤの魅力ではあるが、この感覚はやばい。

 しばらく走ると、手のひらから伝わる手応えがとても薄くるなる。腰から伝わる路面の硬さ。完璧に薄い圧雪の下は氷だ! そんな環境になった瞬間から、突然グリップレベルが落ちた。そこまではスタッドレスタイヤの実力をイメージしながら、それと同レベルのグリップを得ていた。しかしアイスになるとイメージしたとおりにタイヤが噛まず、滑り出したのだ。

 それは間違いなく最新スタッドレスタイヤレベルのアイス性能は無いということ。そしてとくに弱いのは横方向。ブレーキと加速は良い。その感覚で曲がりだすと、横に滑る。

 勘違いしてほしくないが、だから「ダメ」なんていうつもりは一切ない。むしろ特定環境の人にはオススメする。

 具体的には、冬季路面の走行経験が多いドライバーで、目から入る情報も含めて「この場所は日中に日が当たり、その後は日陰になるから路面の下地がアイスになりやすい」など、路面判定を的確にできる目を持つ方なら、速度を相応に落として走れば良いだけなのでオススメだ。

 逆にそれができないと、環境に対してオーバースピードになるので、危険が一気に迫ってくる。その状況判断ができるかできないか? これを分かれ道と思って選択すると良いだろう。

 ちなみにその選択に自信を持てて、アイス路面を的確に読み取って速度を落として走れるという方なら、アイス以外の性能がとても高い上に実売価格も魅力的なのでオススメだ。ちなみに僕はこのタイヤ、当面の間は履き続けたいと思う。普段使いがサマータイヤレベルでできて、雪道も走れる利便性は、大きすぎる魅力だ。

 ネクセンタイヤ:https://www.nexentirejp.com/

  

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