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SONYまでもが手がける「EV」は従来の「自動車」とは別の「交通手段」と捉えるべき

SONYまでもが手がける「EV」は従来の「自動車」とは別の「交通手段」と捉えるべき

CESで登場したSONYの電気自動車に衝撃!

 ついに、あのSONYが動いた!?

 米ネバダ州ラスベガスで毎年開催される、世界最大級の家電・IT見本市「CES(コンシューマ・エレクトロニクス・ショー)」で2020年1月、SONYがEVを世界発表した。こうした動きについて、テレビの一般ニュース、ネットニュース、またSNSなどでは「家電メーカーがEVを作るのは当然」という声が多く聞かれた。

 ただし、SONYの本意はEVを開発して販売することではない。自動運転や、高度運転支援システム(ADAS)で活用するイメージセンサー(画像処理技術)で自動車産業界とのアピールを強化することが最大の目的だ。

 とはいえ、自動車産業と家電・電気産業を俯瞰すると、「EVは大きな電化製品で、将来的にはクーラー、冷蔵庫などと同じような感覚で、ユーザーはEVに接するようになる」。こうした発想を全面的に否定することは、自動車メーカーのとって難しいと思う。なぜならば、自動車メーカー各社から「EVは、本来の自動車メーカーにとって馴染まない商品」という意見が実際に漏れてくるからだ。

 その背景にあるのが、自動車産業界が誕生して以来、長きに渡る「エンジンありき」というモノづくり論だ。エンジンがあって、それにあわせる車体やサスがあって、それから外観を決めるボディがある、という考え方だ。90年代から2000年代になって、やっと車体やボディデザインの重要性が各メーカー社内で見直されるようになり、組織形態も変わっていった。

 ただし、これは「パワートレインの電動化ありき」で始まった動きではない。あくまでも、自動車の企画、研究開発の有り様として、メーカー自らが変化を求めたからだ。

 それが、2010年代初頭から半ばにかけて、「電動化を前提とした基本構造」が自動車開発の基盤となり始めた。基本構造とは、モーター、制御装置、電池、充電機器を含めた車体構造を指すからだ。

 この観点で、EV事業への参入を模索したのがパナソニックだ。2018年頃から小型の自動運転EVを独自開発し、実証試験も行った。さらに、郵便や運輸、そして移動レストランや物販店にも変形できうるEVプラットフォームも公開した。だが、現状では事業化の目途は経っていない。この他、イギリスのダイソンも2010年代中盤から独自にEV研究開発を進めていたが、その後、事業化に向けた動きを休止すると発表している。

 こうした現実を見る限り、家電メーカーにとってもEVは事業性を考えると、いまはまだ本格参入時期ではないのかもしれない。一方で、自動車メーカーにとっても、前述のようにこれまでのモノづくりの発想を大きく変えないと、EV開発と大規模な事業化は難しい。

 EVとは、ガソリン車やハイブリッド車の単なる代替手段ではなく、次世代の町づくりのなかで「クルマは社会の中でどうあるべきか」という大きな課題を背負っていると思う。

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