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なぜ現行クラウンは低迷する? 「SUV化」での「存続」に意味はない! (2/2ページ)

なぜ現行クラウンは低迷する? 「SUV化」での「存続」に意味はない!

販売低迷はセダン人気の落ち込みだけではなかった!

「トヨタ・クラウンがSUVに切り替わる」という報道があった。「セダンプラス」という名称も報じられている。トヨタに尋ねると「仮にクラウンをSUVに変更する話があっても、いろいろな検討をしているアイディアのひとつ」だという。それでも可能性はあるだろう。なぜなら現行クラウンは売れ行きが低迷しているからだ。

 現行クラウンは2018年6月に発売され、2020年11月にマイナーチェンジを受けた。発売の翌年に当たる2019年の登録台数は、1か月平均で3010台だ。ちなみに先代クラウンは2012年に発売され、翌年の2013年には、1か月平均で6892台を登録していた。つまり「発売の翌年」という同じ条件で新旧クラウンの登録台数を比べると、現行型は先代型の44%にとどまる。

 現行クラウンの売れ行きが低調な理由は、大きくわけて3つある。まずはセダンというカテゴリーの販売低迷だ。最近はセダンの売れ行きが下がって車種数も減り、登録台数がさらに減る悪循環に陥っている。

 たとえば現行トヨタ・カローラセダンは好調に売れる部類だが、2020年の統計を見ると、カローラシリーズ全体に占めるセダン比率は15%だ。先代型のセダンを継続生産しているカローラアクシオが11%だから、両方を合計しても、同車のセダンは26%にとどまる。逆に売れ筋は設計の新しいワゴンのツーリングで、カローラ全体の48%を占める。

 ほかのメーカーもセダンは低調で、スバル・インプレッサの場合、セダンのG4が占める販売比率は18%だ。そのために1か月に1000台以上登録されるセダンは少ない。セダンというカテゴリーの人気が下がれば、クラウンも影響を与える。

 2つ目の理由は、現行クラウンの商品力だ。現行型はユーザーの若返りをねらって、さまざまなデザインや機能を刷新させた。外観はリヤウインドウを寝かせたファストバック風の形状で、ボディ側面のウインドウが3分割される6ライトスタイルだ。内装では液晶モニターをインパネ中央の上下に2つ並べ、エアコンもタッチパネル式にした。ただしこれは、先ごろのマイナーチェンジで一般的なスイッチに戻している。

 現行型では走行安定性が向上して操舵感も正確になったが、乗り心地は少し硬く、クラウン伝統の安楽さも薄れた。グレード名も伝統のロイヤルサルーンを廃止して、スポーティなRSを中心に据えている。上級シリーズのマジェスタも廃止した。

 こういった若返りの対策が、販売面で裏目に出た。従来型のユーザーは、路線変更に違和感を抱いて現行型を見送る。若返りの対象となる人達は、クラウンというブランドイメージを敬遠する。その結果、売れ行きが低迷した。

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