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伝統と最先端を融合したデザイン! 新型フェアレディZに込めたキーマンの願いとは (2/2ページ)

伝統と最先端を融合したデザイン! 新型フェアレディZに込めたキーマンの願いとは

大注目のデザインについて語る貴重な機会に

 コロナ禍で大規模なイベントも開催できないなか、とあるシークレットイベントが開催された。ステージの中央に鎮座するのは、イエローのボディカラーを身にまとった、話題の新型日産フェアレディZのプロトタイプ。その統括責任者である、日産自動車のチーフプロダクトスペシャリストを務める田村宏志さんと、軽自動車からスポーツカーまで、日産車のデザインのほぼすべてを手掛けるプログラムデザインダイレクターの入江 慎一郎さん。まさに、新型フェアレディZのキーマンふたりによる、贅沢なトークショーである。

 日産のスポーツカーといえば田村さんというイメージが強いが、今回のトークショーはデザインをテーマに進行。入江さんに新型Zに込めた思いや、こだわりについて実車を交えながら解説するというスタイルで進行した。ふたりは新型Zプロトのボディカラーに合わせ、田村さんはドライビングシューズで有名なネグローニからプレゼントされた特注のシューズを、入江さんはZのロゴがデザインされたオリジナルTシャツを着て登壇した。

「軽自動車からスポーツカーまで担当するので、頭の切り替えが大変です。フェアレディZは日産のラインアップのなかでも花形モデル。担当できるだけでも幸せですね。日産のデザイナーになったからには、一度はフェアレディZをデザインしてみたいという思いは誰もが持っているんですよ」と入江さんは語る。

 トークショーは、まずどのようにして新型フェアレディZのプロジェクトはスタートしたのか、というテーマからスタート。2020年9月に全世界に向けて公開したことについて、率直な気持ちは? という問いに対して田村さんは、

「正直、ホッとしましたね。4年前に新しいフェアレディZのプロジェクトをスタートしたいという話を始めました。スポーツカーだけに、思いを伝えるためには形が大事だと思い、デザインのトップである、グローバルデザイン担当専務執行役員であるアルフォンソ・アルバイサに、カッコいいフェアレディZをデザインしてほしいと直談判しにいったんです」

 本来、企画書を提出して承認を得てから具体的なプロジェクトがスタートするが、今回は新しいZはこうしたい、という田村さんが持つ“メモ書き”から始まったという。入江さんは当時のことをこう振り返る。

「アルフォンソから、とりあえずスケッチを描いてくれないか、という依頼があったんです。確かに、フェアレディZは形がないと進まないプロジェクトです。というよりも、形さえ決まれば進んでいくプロジェクトでした。先ほども話をしたとおり、誰もがZをデザインしてみたいと思っているので、デザイナーたちは誰もがなぐり書きのようなデザインを持っていたりするんです。スケッチは用意していないか? と各デザイナーに確認してみたら、一気に集まったんです。そのなかからいくつかチョイスし、そこからデザイン案を徐々に絞り込んでいきました」

 と、日産のデザイナーたちが、フェアレディZに対して熱い思いを持っているというエピソードを披露。すると田村さんは、

「本来、まずはこのプロジェクトを進めていいですか? ということを役員会で話し合うんです。そこに話がいっていないことは、前代未聞なんです」と笑う。

 新型Zプロトも、歴代モデル同様にひと目で“フェアレディZ”だとわかるデザインを採用している。新型をデザインするにあたり、チャレンジしがいがある分、相当なプレッシャーだったのでは? という問いに対して入江さんは、

「社内外からのプレッシャーがすごかったですね。それを担当することイコール、そのプレッシャーに耐えながら仕事を進める。それを逆にチャンスに変えて、ポジティブにできるかどうかですね」と語る。

 田村さんは商品企画を担当する上で、今回のデザインと合わせてどのように新型のプロトタイプを作り上げていこうと考えていたのかと問うと、

「お客さまが喜ぶど真ん中のものに魂を込める。それに何をどう入れていけばいいのか考えるんです。どういうお客さま像なのか、どういったものが好みなのか? スペックを含めて考える。エンジンのスペックやサスペンションなど、それはカスタマイズが好きな人たちにも満足してほしい。さまざまなことを検討して、ひとつの仕様に落とし込んでいきました。でも、やはり一番最初は形でしたよ。それができたという意味でホッとしています。今は生産展開をしていく段階で現場は盛り上がっているところです」

 プロトタイプはオンラインで全世界に向けて発表した。このようなスタイルでの発表で、スタイルを含めて反響はどうだったのだろうか?

「私たちが言うと手前味噌になるが、これがZだよねということをうまく引き出せて、いいリアクションがもらえましたね。自信が持てました」と田村さん。

 これまでのZの流れも踏まえながら、新しいZを作り出さなければならない。すごいプレッシャーのなか作り上げた新型Zプロトを披露できたことについて、デザイナー目線でどのような印象だったのか? という問いに対して入江さんは、

「大満足でした。このクルマの完成形を最初に見たとき、ジーンときました。それだけ今回のZは満足できるものができた、と思っています」

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