WEB CARTOP | 独自の企画と情報でクルマを斬る自動車メディア

「急速充電は1日2回まで」はなぜ? ほかのEVとは違う「トヨタbZ4X」の独自ルールの謎 (1/2ページ)

「急速充電は1日2回まで」はなぜ? ほかのEVとは違う「トヨタbZ4X」の独自ルールの謎

この記事をまとめると

bZ4Xはトヨタ初の本格EV

■急速充電の回数制限と航続距離の表示に関して疑問が提示された

■「急速充電は1日2回まで」の真相に迫る

71.4kWhのバッテリー容量はグロス値だった

 トヨタ初の本格EV、bZ4Xの実用性能に関して問題が露呈した。bZ4Xに関しては、ホイールの加工およびハブボルトの仕様が不適切だったということから、昨年6月と10月にリコールの届け出と対策が行われていたが、今回取り上げるのは「充電」に関する問題だ。bZ4X自体は、個人ユーザー向けの販売は行わずリース専用車種として設定され、サブスクリプションサービスのかたちで個々のユーザーが利用できる方式となっている。

 さて、bZ4Xの充電に関する問題だが、じつは「急速充電は1日2回まで」という使用上の制限が設けられていたことと、間接的にだがこれと関連し、航続距離の表示に関して疑問が提示されていたことである。

 先に、航続距離の表示問題から触れることにするが、これは実際に走れた距離とカタログ表記の航続距離に、かなりの違いがあったことから指摘された問題だった。これはノルウェーのメディアハウスAllerX(アラーX)が運営する電気自動車専門のウェブサイト、Elbil24(エルヴィル24)が行ったテスト結果によるもので、WLTPモードによる航続距離は470kmと発表していたトヨタの数値に対し、同サイトが2度の実走行(高速走行25%、郊外路走行70%、都市部走行5%)で確認したところ、318kmが限界距離だったいう検証データとの大きな違いである。

 この顛末には、満充電時の航続可能距離表示が407kmだったということも報告されていたが、この数値はそれまでの運転パターンに従った表示になるので、テスト車両がトヨタ所有の貸し出し専用車両(日本で言う広報車)だったことから、当然過酷な運転が行われたことは推察でき、テストグループも470kmの公表値に対して407kmの表示は隔たりが大きいとしながらも、いたしかたない要素があることを認めていた。しかし、エアコン(暖房、テスト時の外気温は8℃)のファンモードを上げてみると、後続可能距離の表示が297kmと一気に低下したことに対し、驚きを隠せないという報告を上げていた。

 リチウムイオンが主体となる現在のEVバッテリーにおいて、電気容量が温度に大きく影響を受けることはよく知られているが、テストグループは、バッテリーの発熱による冷却、低温下でバッテリーを活性化させるための加温、このいずれも必要がなく、EVのテストには理想的な気温コンディションだったと補足している。

 この結果に対し、トヨタは正攻法で対応。まず、それまで71.4kWhと発表されていたバッテリー容量を、このテスト結果を受けて64kWh(NET値、ユーザーが実際に使える容量)と表示値を変更。しかし、71.4kWhは虚偽の数値ではなく、グロス値(総容量)であったことが判明。ちなみにElbil24が実測でバッテリー容量を換算したところ62kWhだったというから、トヨタが公表した64kWhの数値に間違いのないことは実証された。

画像ギャラリー

WRITERS

モバイルバージョンを終了