
この記事をまとめると
■アウディには3世代にわたってTTというスポーツクーペが存在した
■比較的手頃な価格設定で歴代モデルはどれも形状が似ていたのが特徴だ
■2023年10月に登場した限定車をもって販売を終えた
歴代のアウディTTを振り返る
いまはなきアウディのスポーツモデル、アウディTTは、1995年に「TTデザインスタディモデル」としてコンセプトカーが発表され、1998年にそのコンセプトモデルとほぼそのままの円をモチーフにした内外装デザインで市販され、3代に渡り、2003年まで製造されていた2ドアクーペとオープンモデルのロードスターを揃えた人気モデルであった。TTの車名の意味は、イギリスのマン島で開催されていたレース、ツーリストトロフィーに由来するといわれる。
初代(1998-2006)のプラットフォームは当時のVWゴルフ3やアウディA3と共通。当初、左ハンドルのみだったインテリアにはアルミパーツを用い、全長4041×全幅1764×全高1346mm、ホイールベース2422mmのコンパクトなボディサイズながら、内外装ともにプレミアム感あるキャラクターのもち主でもあったのだ。
初代の日本仕様のパワーユニットは1.8リッター直4DOHC5バルブターボで、225馬力のハイチューンが施され、6速MTと組み合わされた1.8T Quattroと呼ばれた4WDモデルのみ。その後、1.8リッター直4DOHC5バルブターボ+5速MTのFFモデルの1.8T、VWゴルフRやアウディS3などに搭載されていた3.2リッターVR6エンジン+DSG搭載のQuattro S-Line、2シーターとなる1.8Tロードスターなどが加わった。発売当初になかったリヤスポイラーも後に加わり標準装備となっている(高速域でのリフト制御のため)。
極初期モデルは左ハンドル+MTというマニアックな(!?)組み合わせだったものの、その後は日本市場に適応すべく、右ハンドル+Sトロニック(2ペダルMT)の仕様に落ち着いている。
クーペの場合、筆者も何度か長期に渡って試乗しているが、+2の後席は激狭。身長172cmの当時はスリムだった筆者でさえ、後席に乗り込むにもアクロバティックな乗車が強要され、着座しても頭上に余裕などなく、膝を抱え込む姿勢を強いられた。子どもや小柄な人専用席だったというわけだ。後席を畳んで2シーターとして、荷物スペースを稼いで実用的(!?)に使うのがTT乗り……ということになるだろうか。
とはいえ、走りは痛快、スポーツカーならではの低い着座位置と低い視界、タイトなコクピットによって、スポーティな走りを楽しみ尽くすことができたと記憶する。