
この記事をまとめると
■F1モナコGPが開催されることでもよく知られているモナコ公国
■モナコの街なかを走るクルマに注目した
■モナコは高級車ばかりというイメージだが実際は欧州コンパクトカーが多い
お金持ちの国で知られるモナコの街なかを走っているクルマたち
久しぶりにモナコを訪れた。モナコといえば、自動車ユーザーの多くはF1モナコGPを思い浮かべるだろう。世界屈指のストリートコースだ。今回は、F1開催の3週間前、同じコースで開催されたフォーミュラEの取材である。
さてモナコだが、「モナコってどこ?」と聞かれて、世界地図で正確な位置を指させる人は少ないのではないだろうか。フランス南部の海岸線沿いで、東側からモンペリエ、マルセイユ、カンヌ、ニースとフランスの都市が並んでおり、さらにその先にあるモナコはイタリアに近い。
モナコは公国という、独立した国家。だが、フランスやイタリアから入国する際にイミグレーションはない。地形としては、ヨットハーバーを中心とした湾岸部から後方の山に向かって街全体がせり上がっているように見える。国土面積は、2平方キロメートルしかない。バチカン市国に次ぐ、世界で2番目に国土が小さい国だ。
人口は4万人弱だが、その3分の1がミリオナーという、富裕層が主流の国である。そんなお金もちの国ならば、さぞかし高級車だらけ、というイメージをもつだろう。
ところが、実際はそうでもない。確かに、ロールスロイスやフェラーリは走っているものの、東京都心の方がより頻繁に見かけるといったイメージだ。
また、メルセデス・ベンツやBMWも、ショーファーカー(送迎車)の黒塗りは目立つものの、こちらも東京界隈のほうが数が多い。そのなかで定番なのは、やはりGクラスといったところか。
ポルシェ、マセラティ、アストンマーティン、マクラーレンなども同様で、あまり多くは見かけない。東京都心との比較だけではなく、米カリフォルニア州ビバリーヒルズ周辺と比べても、意外にも高級車の姿が少ないのだ。
それよりも、日本でいうところのコンパクトカー、欧州でのBセグメント車の姿が多い。ルノー、プジョー、フィアットなど、フランス車とイタリア車が主流だ。
むろん、富裕層は自家用車を複数もっているので、時と場合に応じて乗るクルマを選ぶのは当然だろう。ただし、面積の小さいこの国では、ごく一部の人を除いて大きなガレージを所有している人は少ないはず。
つまり、クルマ好きは高級スポーツカーなどに乗るが、そうでない人たちはショーファーカー、またはお買い物用のクルマの使いわけといった感じなのではないだろうか。これまで、じっくりとモナコの街なかを走るクルマに注目したことがなかったので、今回あらためて、モナコの生活様式を確認できた。