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信号無視の歩行者の顔も交通違反車のナンバープレートもスクリーンで晒し者に! 国際化が進む「上海」とはいえ「やっぱり中国」らしかった

信号無視の歩行者の顔も交通違反車のナンバープレートもスクリーンで晒し者に! 国際化が進む「上海」とはいえ「やっぱり中国」らしかった

この記事をまとめると

■20年前の上海の交通事情は信号無視や逆走が横行する「カオス」状態だった

■現在は取り締まりの強化や左折レーンの独自設計などで秩序が整いつつある

■四輪・二輪の分離や違反車両の晒し出しなど中国独自の交通管理も存在する

変わりゆく上海の交通事情

 筆者がはじめて中国を訪れたのは、20年ほど前の上海であった。当時の上海の道路事情をひとことで表現すれば、まさに「カオス」そのもの。いまでもインドのデリーへ行けば終日クラクションが鳴りやむことはないが、20年前の上海も同様だった。

 早朝便で帰国することが多かったのだが、早朝に空港までタクシーに乗ると、空港から市内中心部を往来するときは時速150kmは出ていたであろうハイスピードで走り、逆走、信号無視は当たり前で、高速道路に入ると居眠り運転されることも珍しくなかった。

 高速道路では、渋滞がなければ常に車線変更を繰り返していた。右側通行を守って信号が赤になったら停まる以外、なにをやってもお構いなしといった状況であったのだ。それでも、片側1車線のような中心市街地の道路でUターンをしようとするクルマがいると、Uターンが終わるまで対向車が停まって待ってくれるなど、妙なところで譲り合いも行われていた。大きな交差点の信号では、いまもカウンターのようなものがついている。信号が赤から青、青から赤になるまでの時間をカウントダウンしているのである。

 ドメスティックルールも多いので、中国に駐在する際は運転手付きの社用車を使うようにして、社員にはクルマの運転を禁じているところがほとんどとも聞いている。

 そんな中国(上海)の道路では、左ハンドルの右側通行なのだが、日本での右折に相当する左折をする際には左折専用レーンが用意されている道路も多い。たとえば片側4車線の道路ならば、もっとも中央分離帯側の車線が左折専用レーンとなるところがほとんどとなるのだが、なかにはもっとも歩道側(=外側)の車線(中央側には直進レーンが2~3本ほど存在する)が左折レーンとなっている交差点がある。

 そういう交差点では、信号が青になっても歩道側のクルマは動かないのだが、後続車がクラクションを鳴らすこともなく停まっており、進行方向の信号が左折可能となる矢印の青信号が出ると一斉にクルマが動き始めることになる。

 単に左折するだけではなくUターンも可能な交差点では、こうして日本での一般認識としてはイレギュラーな場所に左折レーンが設置されるようである。これは、どんなクルマでも切り返すことなく一発でUターンできるような配慮なのだろうが、なんともいえない不自然さを感じる筆者は、立ち止まって左折の矢印が出るのを待つことがしばしばある。

 大きな通りでは、同一進行側でも分離帯を設け、四輪車と二輪車の走行をわけているところもある。日中はきちんと四輪車と二輪車がわかれて走行しているのだが、夕方のラッシュ時などでは、耐えかねて二輪車レーンを四輪車が爆走する姿を今回も見かけた。

 現代の上海では、円滑にクルマが流れていると結構マナーよく走っているのだが、渋滞が発生したりすると「奇行」がはじまる。その様子を見ると、遠い昔のカオスだった上海を思い出して、筆者は妙な満足感を得てしまっている。

 個人情報保護というものが希薄ともいえる中国では、スピード違反車両を測定したら違反車両としてナンバープレートを大型野外ディスプレイに表示して晒したり、歩行者信号が赤でも横断した歩行者の顔写真を晒す信号機など、日本では信じられないような機器も充実している。このような「飛び道具」も充実するだけでなく、高速道路の速度取り締まりは厳重なようで、タクシーはコロナ禍直前よりさらに安全スピードで運転するようになっている。

「ところ変われば」という話はよく聞くが、やはり道路環境ひとつとっても中国には独特なものが多く存在しているものだ。

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