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路面電車は鉄道とは違う! クルマ好きをもなぜか魅了する全国各地の路面電車が面白い

路面電車は鉄道とは違う! クルマ好きをもなぜか魅了する全国各地の路面電車が面白い

この記事をまとめると

■路面電車は軌道法によって道路上に敷設され街と共存する存在だ

■鉄道とは法制度や車両規格などが大きく異な

■全国の個性豊かな路面電車を見てまわるのは旅好きにもオススメだ

路面電車と鉄道は別物

 マツダの仕事などで広島を訪れると、路面電車が走っている姿を見るのが楽しみのひとつになっています。広島の街のシンボルともなっているようで、最近では広島カープのラッピングをした電車も目撃。筆者は「鉄オタ」ではありませんが、路面電車がクルマと近い距離で並走しているシーンは、やっぱり印象深いもの。一般的な鉄道ではなかなか臨みえないその光景は、軌道と鉄道という法律の違いからきているようです。

 そもそも、日本での路面電車は、1890年(明治23年)制定の軌道条例をベースに、1912年(大正元年)に制定された「軌道法」に基づく運営がなされています。で、この軌道法によれば、「線路は道路に敷設すべし」とのこと。つまり、広島をはじめ、各地の路面電車はもともと道路だったところに線路を敷いた路線ということ。

 一方の鉄道は、1986年(昭和61年)に制定された「鉄道事業法」に基づくもので、「鉄道は道路上に敷設してはならない」と定められています。このほかにもカーブの曲率が大きく違っていて、鉄道は原則として最少半径が160mなのに対し、路面電車の軌道では11mとなり、道路上を考慮した数値が定められているのです。

 当然、車両そのものの大きさも違っていて、鉄道は全長20m、重さ約30~40t、定員が150人程度というのに対し、路面電車は全長が11~13m、重さが15t程度、立席も含めた定員は70~90人程度。クルマ好きが抵抗なく路面電車を眺められたり並走できたりするのは、このサイズ感によるところもあるのかもしれませんね。

 ところで、路面電車はアメリカでも早い時期から走っていました。かの地ではストリートカーと呼ばれたり、トロリーなどと呼ぶこともあるようです。ちなみに、ストリートカーというのは日本と同様に道路(ストリート)上に敷かれたレールを走ることから始まった模様。

 ただし、アメリカは道路の幅からして日本よりも広かったために、車両規定は大きめ。また、鉄道並みに都市間を結ぶ路線も少なくなかったとのことで、同じ「路面電車」でも解釈はかなり違っているようです。

 ちなみに、飛行機やロケットで有名なロッキード社も路面電車の車体を作っていたことがあるそうです。アポロ計画の打ち切り後、余剰エンジニアの仕事としたようですが、これがロケット並みの緻密さ、精巧さで設計されたおかげで、過剰なほどのメンテナンスが要求されてしまったとか。そのため、納入した半数以上が返品されるという始末で、早々に路面電車事業からは撤退したのだとか。

 いまも日本国内では北は北海道から南は九州鹿児島まで全国津々浦々で走り続けている路面電車ですが、鉄道法より軌道法のほうが緩いのか、各地それぞれの個性がたっぷり。ならば、全国のご当地路面電車を訪ねる旅なんていうのも楽しげではないでしょうか。なにしろ、クルマ好きなら並走するという楽しみが加わりますから、乗るだけより一層の充実感が味わえるはずです。

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