
この記事をまとめると
■ピニンファリーナによってスタイリングされたロールス・ロイスがある
■1975〜1986年に生産されたカマルグは最上級の流麗な2ドアクーペだった
■ドロップヘッドクーペは販売されなかったがコンバージョンモデルが多数存在している
ピニンファリーナがデザインしたロールス・ロイス
世界の頂点を極めた高級車といえば、誰もがまずその名前を思い出すのは、ロールス・ロイスというブランドではないだろうか。今回はそのロールス・ロイスが、1975年から1986年にかけて生産していた「カマルグ」を紹介しようと思う。ちなみにこのカマルグ、当時のロールス・ロイスの2ドアモデルのラインアップにおいては、あのコーニッシュのさらに上を担ったモデルとなる。
それにしても、なんと流麗で、そしてまたロールス・ロイスに必要不可欠な威厳というものに満ち溢れた印象を抱かせるボディデザインなのだろうか。それもそのはず、カマルグのデザインはイタリアのピニンファリーナによるもの。どこかにロールス・ロイスらしからぬ(といっては失礼かもしれないが)、華やかさを感じさせるのは、ここに大きな理由がある。
当時、ピニンファリーナのチーフスタイリストであったイタリア人パオロ・マルティンにロールス・ロイスが望んだのは不変的なデザイン。たしかに現代の目で見ても、カマルグのスタイルから古さというものは感じられない。ピニンファリーナは、見事にロールス・ロイスの望みに応えてみせたともいえるだろう。
ギリシャのパルテノン神殿をモチーフとするグリルは、前方に4度傾斜し、その両サイドにはこれもまた存在感のある丸目4灯式のヘッドライトとウインカー。ボンネット上にはシャープなプレスラインが走り、それに呼応するかのようにウエストラインとルーフラインもまた、滑らかな流れを保ったままリヤセクションへと連続している。
そして、筆者が個人的にとくに印象深く感じているのはリヤセクションのフィニッシュ。最高級のパーソナルクーペとはかくあるべしとでもいうべき造形がそこにはある。
カマルグの車体はコーニッシュ、そして4ドアのシルバーシャドウにも共通するもので、ボディの架装はマリナー・パークウッド社によって行われている。