
この記事をまとめると
■「スピリット・オブ・アメリカ・ソニック1」が約1億9500万円で落札
■ジェットエンジンを搭載した記録用マシーンで時速600マイルを記録
■いまも米国の「夢と情熱の象徴」として語り継がれている
衝撃のマシンが海外オークションに登場
とてつもない売り物が登場したものです。1965年にボンネビル・スピードウィークで時速600マイル(960km/h)の記録を打ち立てたジェットマシン、スピリット・オブ・アメリカ・ソニック1がオークションで落札され、その額なんと132万5000ドル(約1億9500万円)。
展示されていたインディアナポリスモータースピードウェイ博物館からの出品もさることながら、このマシンには凄まじい情熱や驚くようなバックストーリーだらけ。夢があるって、こういうマシンのことをいうんでしょうね。
スピリット・オブ・アメリカと呼ばれるスピード記録挑戦車は、アメリカのクレイグ・ブリードラブ氏による情熱の賜物。もはや航空機かのような車体には、レシプロエンジンではなく米軍払い下げのJ47ターボジェットを搭載するという当時としても驚きのマシンでした。が、1962年の試走ではハンドリングに難があり、「とてもじゃなけいど走れない」代物だったとか。それでも、この日のうちに388.47mph (625.18 km/h)をマークして、実力の片鱗を見せつけています。
だいたいJ47エンジンは推力2710kgもあって、F-86セイバーを最大速度970km/hで飛ばすというパフォーマンス。より軽量な地上走行車に積んだら、目玉が奥に引っ込むくらいの加速&パワーになるのは間違いありません。なお、当時のレギュレーションはタイヤによる駆動と、4輪接地が義務付けられていたにもかかわらず、ブリードラブはあえての3輪がフリーホイールという仕様(笑)。そのため、マシンはオートバイに分類されたりしたのですが、最終的にはFIMによって速度記録車として認定されています。
そして、改良され正式に初代スピリット・オブ・アメリカを名乗ったジェットマシンは、1963年9月5日ボンネビル・ソルトフラッツにて公式速度記録として世界で初めて400mph(約644 km/h)を達成し、彼にとって最初の速度記録を樹立したのでした。