
この記事をまとめると
■あるタクシー会社では大学生を日本型ライドシェアのドライバーとして雇用している
■働く曜日や時間帯が決まっているので大学生側からも評判がいい
■日本型ライドシェアは大学生のアルバイトや主婦のパートなどに向いているかもしれない
決まった曜日の決まった時間に働ける
昔から“苦学生=アルバイト”というイメージが定着している。苦学生ではなくても、サークル活動のためや、友人との遊興費などいわゆるお小遣いを稼ぐため、筆者が大学生のころでも周囲の友人の多くがアルバイトを行っていた。筆者は通学に時間を要することもあり、継続的なアルバイトが難しかったので、そのぶん夏休みや冬休み、春休みに集中的にアルバイトを行ってお小遣いを貯めていた。
ところがいまどきは雇用のミスマッチというものもあるが、さまざまな理由から学生が簡単にアルバイトに就けるというわけでもないようだ。
先日、あるタクシー会社に取材へいくと、そこは日本型ライドシェアサービスも行っているのだが、日本型ライドシェアドライバーは近隣の大学に通う大学生に特化して雇用しているとのことであった。海外の一般的なライドシェアサービスに比べれば、稼働日そして稼働時間帯が限定されているので、まず日本型ライドシェアサービスだけで食べていくのは難しい。繁忙時間帯におけるタクシーの補完的役割でスタートした日本型ライドシェアサービスは、稼働時間がかなり限定されることもあり、タクシー業界では当たり前となっている歩合給というものを採用しない事業者が多く、時給制をとるところが目立つ。
タクシー会社に雇用され、週末の深夜時間帯に勤務することがほとんどなので、時給自体も周辺の飲食店のものより若干上乗せした額となっているようだ。事業者側としては、「あわよくばタクシー運転士として……」という部分もあり、日本型ライドシェアサービスドライバーを大学生に特化して雇用しているようでもある。
稼働台数が少ないので雇用している人数も少ないのだが、働く曜日、働く時間帯が決まっているという部分もあり、働く大学生側からも評判がいいようである。クルマを運転するので事故リスクというものはついてきてしまうが、話を聞いたタクシー会社では、大学生なので会社で車両を用意して貸与していた。
ライドシェアでは、スマホアプリ決済で現金を扱わないので、強盗などの犯罪に遭うリスクもかなり低い。気になる乗客とのトラブルでは、深夜なので酔客も多いようだが、目立ったトラブルはないとのことであった。
大学生側の働く理由では、奨学金の返済や学費捻出といったもののほうが目立つようで、乗客も若いひとがドライバーをやっていて、話を聞いて文字どおりの苦学生とわかると、「がんばれよ」ということにもなりやすく、トラブルがないようである。
タクシーの稼働率が都市部を中心に急速に回復しているが、日本型ライドシェアサービスが今後、飛躍的にサービス拡大していくかといえば、そこは疑問符がついているといっていい。タクシーにおいてはもろもろ規制緩和のようなものが必要にもなるので、そう簡単にはいかないなか、最近では日本型ライドシェアは使命を終えたのではないかなどとも業界では話が出るようになっているとも聞く。
見方を変えて大学生のアルバイト先や主婦のパート先など、隙間時間運転士としての採用には脈ありとなっているのだから、サービスの展開を変えてみると、タクシー業界全体の未来を開くヒントが得られるかもしれない。