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自動運転建機が動く現場で異常事態発生! 現場に急行する「移動司令室」がもはやSFの世界だった

自動運転建機が動く現場で異常事態発生! 現場に急行する「移動司令室」がもはやSFの世界だった

この記事をまとめると

■閉鎖された現場では運搬や掘削が自動化&遠隔操作で行われている

■無人で動く車両の監視や遠隔操作は5G通信とAIが活用されている

■遠隔操作のための移動できる「司令室」をコマツが開発

トラックの自動運転は建設現場で実用段階に入っている

 現在、各地でトラックの自動運転に向けた実証実験が盛んに行われている。しかし、「ゆりかもめ」などの自動運転が実用化されている新都市交通機関とは異なり、一般道路では状況が格段に複雑だ。ほかの車両だけでなく歩行者や自転車が行き交い、建物や電信柱といった障害物も存在する。さらに信号や標識、道路工事などによる交通規制にも対応しなければならない。こうした多様な状況に完全に適応できるようになるには、まだしばらくの時間が必要だといえるだろう。

 新都市交通機関が自動運転を実現できているのは、ほかの要素が入り込まない閉鎖区域(専用軌道)で運行しているからだ。なので、建設機械にもじつは同じようなことがいえる。実際、これらは限定された環境で稼働しているケースが多く、こうした閉鎖的な現場では、すでにダンプトラックなどの自動運転や遠隔操作が実用化段階に入っているところもあるほど。

 建設機械(建機)の自動運転や遠隔操作は、国土交通省が推進している取り組みのひとつだ。無人で動く車両の監視や指示にはおなじみの5G通信が活用されており、リアルタイムな制御が可能になっている。一般的に自動運転は、あらかじめ建機の動作をプログラミングしておく方法に加え、車両に取り付けられた各種センサーから得られる情報をもとにAIが判断を下し、タスクを実行するという仕組みが取られている。

 遠隔操作とは離れた場所からオペレーターが車両を操作するシステムのことだ。これにより、危険な場所での作業も安全に行えるだけでなく、ひとりのオペレーターが複数の遠隔地の現場を掛けもちできるため、人手不足対策としても有望視されている。

 また、自動運転が導入された場合でも、万一のトラブル時には人による遠隔対応が欠かせない。そのため、自動運転と遠隔操作の技術開発は、ほぼ並行して進められているのが現状だ。

コマツが開発した革新的な移動オフィス

 自動運転や遠隔操作を行ううえで、現場で稼働する建機を監視・操作する「指令室」は欠かせない存在となる。現在はオフィスビルの一角や、現場近くの仮設オフィスに指令室を設置するケースが多いようだ。

 しかし、万が一現場で異常が発生し、急きょスタッフが現地に向かう必要が生じた場合には、別途連絡車などを用意しなければならない。その際、現場・オフィス・連絡車の間で密接なコミュニケーションを取り合う必要がある。また、山間部などの僻地では、そもそも近くに適切な仮設オフィスを設けることができないこともある。

 こうした問題を解決するために、遠隔操作システムを搭載した「移動オフィス」が登場した。バン型車両をベースにしたもので、開発したのはコマツとその子会社であるEARTHBRAINだ。

 車両内にはパソコンやモニター、ふたり掛けのデスクが設置されており、遠隔操作による建機オペレーションに加えて、オフィスとしての機能も備えている。

 たとえ遠隔操作の要となるネットワーク環境が不安定な場所でも、不感地帯(圏外)を手軽に通信可能なエリアにすることができるEARTHBRAINの「通信不感地対策Wi-Fiパック」を使うことで、安定した通信環境を構築することができる。

 自動で動く建機と、移動式の指令車──まるでSFアニメのような世界がいま着実に現実のものとなりつつあるのだ。

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