
この記事をまとめると
■タイヤの騒音の原因にはパターンノイズとロードノイズがある
■タイヤの騒音をうるさく感じたり静かに思えたりするのは路面の質の違いによる
■道路にあるわずかな凹凸による振動が車体に伝わってロードノイズとなる場合もある
タイヤが路面を叩くことでさまざまな騒音が発生する
タイヤ騒音には、パターンノイズとロードノイズがある。パターンノイズは、タイヤトレッドが路面と接する際、トレッドが路面を叩くことで生じる騒音だ。また、トレッドの溝の空気が路面と接した際に密閉され、それによる共鳴音も関わる。ロードノイズは、タイヤが路面と接する際に、路面変化によってタイヤが振動し、その振動が車体を通じて客室まで伝わり、騒音として耳に届くのをいう。
クルマが走っているとき、乗員の耳に届く騒音は、パターンノイズとロードノイズの両方が聞こえている。高速道路や自動車専用道路など、比較的道路条件が安定している道を走っていても、タイや騒音が変化していることに気づくことがあるかもしれない。それは、道路の舗装の様子の違いによる。
たとえば、速度の高くなる高速道路では、雨の日に水しぶきがあがると前方視界が悪化するため、水しぶきの上がりにくい舗装を施している場合がある。それは、アスファルトに混ぜる砂利をやや大きめにして、砂利と砂利の隙間を増やし、路面の水を舗装の下へ排出しやすくする断面構造を用いたアスファルト舗装だ。
この舗装は、砂利と砂利の隙間が大きくなるので、タイヤトレッドが路面と接する面積が、隙間のぶんだけ若干少なくなる。また、トレッドの溝の空気が路面の隙間から逃げ、密閉されにくいことによって共鳴音が小さくなり、パターンノイズが下がる。それで、タイヤ騒音が静かになったように感じる。
一方、水はけがよく、砂利と砂利の隙間の多い舗装は、クルマが頻繁に通行するに従い、その重さによって目が詰まりだし、隙間が小さくなっていき、今度はタイヤトレッドが路面を叩く面積が増えたり、溝の空気が路面と密閉状態になって共鳴したりして、パターンノイズが大きくなり、タイや騒音がうるさくなったように感じる。
アスファルト舗装で使われる砂利の隙間は、その場に立って路面を凝視すれば違いがわかるかもしれないが、走行中のクルマの運転席からは違いがあるとはわかりにくい。同じアスファルト舗装の道を走っているはずなのに、タイや騒音をうるさく感じたり、静かに思えたりするのは、路面の質の違いによるといえる。
また、一見平らに見えるアスファルト舗装も真っ平とはいかない。混ぜられる砂利によってわずかな凹凸がある。そこをクルマが通過すれば、振動が起こる。その振動が車体に伝わり、ロードノイズに影響する。
騒音対策として、車体に遮音など施されるが、車格や車種の違いによっては、同じ道路を走っていても騒音の聞こえ具合が違う場合がある。一般に、客室と荷室が同じ空間になるSUV(スポーツ多目的車)やステーションワゴン、あるいはミニバンは、騒音を感じやすい傾向にある。それに比べ、客室と荷室が分離されたセダンは、静粛性が保たれやすい。