
この記事をまとめると
■トヨタ・オリジンは2000年に約1000台限定で製造されたスペシャルモデル
■プログレをベースにセンチュリー工房の熟練工が手掛けた高品質仕上げが特徴
■中古市場では25年経ったいまも300万円超のプレミア価格で流通している
トヨタの「起源」に立ち返った記念碑的モデル
めったに見かけることはないが、トヨタのロゴエンブレムを堂々とつけたいかにもクラシックなセダン。それも1955年に登場した初代クラウンにも似ていて、しかし見た目のコンディションにまったく古さを感じさせないクルマが存在する。しかも、ドアは観音開きである。
その正体は、トヨタがトヨタの国内生産累計1億台を達成したことを記念して2000年11月に発売した「トヨタ・オリジン」だ。オリジンとは「起源」を意味し、生産台数約1000台といわれている限定希少車のため、25年前でしかないクルマとはいえめったに見かけることがないというわけだ。
そんなオリジンは、1998年に発売されてメルセデス・ベンツ CクラスやBMW3シリーズと同クラスに相当するプログレの派生車とはいえ、トヨタが長年にわたって培い、伝承してきた匠の技と最新自動車技術との融合を図って製造されたもの。
プログレのプラットフォームと主要コンポーネンツを用いるが、「小さな高級車」「クラウン以上のセルシオ品質」を謳い、なんとセンチュリーの生産ライン(関東自動車工業)の熟練工によって入念な工作と組付けが行われた。随所にクラフトマンの「技」を感じさせる卓越した仕上がりが特長なのである。
スタイルのモチーフは1955年に誕生した初代クラウンであり、その大きな特徴でもあった観音開きドアを採用したほか、手の込んだ亜鉛ダイキャストクォーターピラーガーニッシュにも特徴がある。フロントグリル、縦長テールランプなども精密な高い品質で再現。インテリアも本木目パネルやオリジン専用の刺繍車名入り本革シート、本木目ATセレクター、金のアナログ時計を奢るなど、当時のトヨタがもてる技術を惜しみなく投入したクラシカルで高級感溢れる1台だったのである。